1話 金と若さを手に入れた男

 翌朝。俺はいつもより軽い体で目が覚める。


「凄い爽やかだな。若返ったみたいだ。 まあいっか新聞新聞っと」


 俺は玄関に向かい新聞を取る。

眠い目をこすりながら新聞の宝くじの当選番号を確認する。

 当たっているわけがないと思うがそれでも気にするのはまあ購入者の本能だ。


「えっと番号は……480の523で……」


 番号は11桁の数字だ。

俺はそれを確認する。

だが手元のくじと番号を見るとなんと一致している。

 一等の数字がだ。

見間違えと思うが、何度確認しても11桁が完全一致だった。


「マジかよ。俺に28億円って……まさかあのノート!」


 俺は机の上に置いたノートを手に取る。

確かに28億円が当たると書いてある。

 そして若返るとも。


「まさかっ!」


 俺は鏡へと走る。

そして鏡に映った顔を見て俺は思わず驚愕する。


「わっ、若返ってるぅうぅぅっぅぅぅ‼‼‼‼」


 そんな叫びが部屋に響いた。




 それから20分ほどが経つ。

俺は部屋でノートと宝くじを一度引きだしに入れてから今後の事を考える。


「どうする……これ本物だ。しかもこんな顔じゃ出社出来んし、どうする。いっそメールで退社すると伝えるか。でも近所の人はどうする?………えーい、ノートだ」


 俺は再びノートを手に取りこう記す。


『俺の周りの人間は俺が若返ったことを一切不審に思わない』

『俺の外見と実年齢が噛み合わずとも一切不審に思わない』


「これで大丈夫か」


 まあ28億円があればどっちみち仕事は辞めるけどね。ブラックに勤める義理は無いし、月曜日にでも退職届け出すかな。


「さてと。それじゃ銀行に行って宝くじの当選手続きだけ済ませるかな」


 俺は服を着替えて銀行へと向かう。

28億円か。楽しい生活を送れそうだ。

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