【episode1– 喜びの時】
「あっ!あった!!」
掲示板の合格発表を見上げながら、私は嬉しさのあまりピョンと飛び跳ねた。
場所を移し、急いで母に電話をする。
「もしもし、ママ?受かってたよ!合格してた!!」
弾んだ私の声を聞いて、ホッと安堵している母の様子が伝わってくる。
「良かった…。」ため息混じりの母の言葉に、きっと午前中は仕事が手に着かなかっただろうなと感じた。
「今頃は中学でも合否の報告がされていると思う。本人も合格したのを知っていると思うよ。」
私がそう告げると、母は心底安心したように、「そうね。良かった。」と声を潤ませた。
その日は、弟の合格発表だった。
仕事があり来校できない母に代わって、昼休みに私が掲示板を見に行ったのだ。
春からまた同じ学校に通える。私は喜びの中、高校の校内を見渡した。
弟のことを宜しくねーーー。
校庭の木々が風に揺れる。
『任せておいて。』なんだか、そんな声が聞こえたような気がした。
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