木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚！

第48話 魔王の影

「で、何しにきたんだミリオン」

「いやぁ、オルクス様やっぱり強いねー」

「ミリオン話を聞きなさい」

　あの後屋敷に攻撃してきたミリオンを力づくで止めた俺は、そのままミリオンを小さくさせて屋敷の中へ入らせた。

「話？ああ私、オルクス様に伝言預かってたんだ！」

「伝言？」

「うん、ファルコがね今魔王領って呼ばれるところに行ってて応援がほしいんだったて」

　ファルコが応援要請か珍しいな。

　何かあったのかな？

「ミリオン、ちなみにそれはどのくらい前の事なんだ？」

「3日かな？」

「なるほどな、よしわかったその応援には俺とスザク、そしてアロウで向かおう」

「おお！オルクス様が自ら応援に行くのか！凄いな私も一緒に行きたいぞ！」

「いやお前は強制参加だから、だって道わかんないし」

　俺もさすがに魔王領には行ったことがないため、瞬間移動ですぐに行くというのは今回はできない。

　故にミリオンに途中まで道案内をしてもらう必要がある。

　まぁ近くまで行けば広域知覚センサーでファルコの居場所がわかるから、そこからは瞬間移動を使って移動するけどね。

「よしそれじゃあささっと行くか」

「ちょっと待ってオルクス様、私も連れてってよぉ」

「え、ムーファ？」

　ファルコの応援の準備に取り掛かろうとしたとき、近くにいたムーファまでもが参加したいと俺に言ってきた。

　うーん正直こいつはいらないんだよぁ。

「私もたまにはオルクス様と行動したい！」

「そう言われてもなぁ、今回は遊びじゃないし……」

「そこをなんとか、役に立つからさ！」

　まぁ別に必要がないだけで邪魔にはならないしな、ついていくことくらい許してやるか。

「仕方ないなぁ、邪魔をしないって約束できるか？」

「できる、できるよ！」

　ムーファはそう言って俺に迫ってきた。

「わかった、わかったから」

「やったー！」

　俺がそう言うとムーファは両手を上げて喜びをあらわにした。

　しかし魔王領か、これはもしかすると魔人族とまた何かあるかもしれないな。

「よし！準備おっけーっと」

「オルクス様」

「おお、どうしたマリギュラ？」

　魔王領へと向かうための準備を終えたタイミングでマリギュラが心配そうに話しかけてきた。

「此度の魔王領への遠征は少し不安です」

「ほぉ、それはまたどうしてだ？」

「相手はレベル900以上の魔王と呼ばれる者です、いくらオルクス様が強くても敗北する可能性があります、そんな者のいる土地に何の策も無しに入るのは得策ではありません」

「まぁ確かになぁ、でも別に戦いをしに行くわけじゃないんだし、大丈夫だろ！」

「それはそうですが……ともかく！くれぐれも目立つ事だけはしないでくださいね」

「ああわかってるよ」

　たしかにマリギュラの言っていることは正しい、相手はなんせこの世界で一番強いと言われている魔王だ。

　決して油断していい相手ではない。

　それに7獄の魔人と俺が敵対していることやラキュラスを殺していることなどしていることから俺と魔王には因縁のようなものもある。

　うーん、下手に動いて敵に回したくはないけど、場合によっては仕方ないかもなぁ。

「あ、オルクス様ー！私達も準備できたよー」

　マリギュラと話しているとムーファ達がやってきた。

「了解！そんじゃあファルコの応援に魔王領に行くとするかー」

　マリギュラにはああ言われたけど、実際魔王には興味がある。

　別に戦ってみたいとかそういうのじゃなくて、シンプルに見てみたいのだ。

　この世界で最も恐れられている存在というやつを。