第41.5話 ミリオンとファルコ

「ねーファルコ、まだつかないの?」

「まだだ」

「えー、ながいよ私歩くの疲れたよ」

「村に着けば暴れ放題できるんだから我慢しろ、ミリオン」



 ゴブリンに襲われた村を救うため、ファルコとミリオンはその村へと向かっていた。

 

「その村ってさ、警護の兵士とかいなかったの?」

「いたらしいが、全滅したそうだ」

「うっそ弱すぎない、相手はゴブリンでしょ?」

「いくらゴブリンでも数百体の相手を兵士15人ほどで相手をするのは流石にキツい、故にこれはしかのない結果だ」

「ふーん、じゃあ早く行かなきゃだね!」



 そう言うとミリオンはファルコの腕を掴んだ。

 悪い予感がしたファルコは咄嗟に掴まれた腕を振り解こうとしたがもう遅かった。


「み、ミリオン、無茶はやめてくれよ」

「うへへ、早く着ければファルコも嬉しいでしょ?」

「いや今のままでも十分早いんだ、焦る必要はーー」

「アビリティ発動ー部分強化[脚力]」

「よ、よせよ」

「いくよ!」


 そう言うとミリオンは強化した足で思いっきり地面を蹴った。

 するとミリオンとミリオンに掴まれたファルコは50メートルほどぶっ飛んだ。


「み、ミリオン!」

「あっはは、楽しいねー」



 そこからはあっという間だった。

 ミリオンは木とか森とか関係なしに突っ込んだため、無茶苦茶だが普通では考えられないほど早く村に着いた。


「着いたー!」

「……死ぬかと思った」


 倒した木の数10本、破壊した岩の数5個、ファルコの折れた骨の数0本、打撲数箇所。

 

「ねーファルコあれみてよ!」

「なんだ?」

「ほら村人襲われてるよ!」

「……襲われてるよじゃないだろ、行くぞミリオン仕事だ」

「はーい!」


 巨人ミリオン、通常時レベル420、巨人開放時レベル500。

 ミリオンは巨人解放時オルクスの持つ魔獣の中で1番の強さを誇る。

 しかしミリオンはその強さがゆえなのか性格は楽観的で大雑把なため、細かい事や相手を思うことが苦手である。

 そのためミリオンにオルクスは硬派なファルコを組ませている。


「アビリティ発動ー先陣旋風」


 アビリティ先陣旋風、相手に突風をぶつける術でファルコの十八番である。


「ギィアアア」

「おおやるねファルコ、よーし私も頑張るぞ」

「ミリオンやりすぎるなよ……」

「アビリティ発動ー巨人解放!」


 アビリティ巨人解放、普段は人の姿に抑えている力を解放する術であり、これを使うとミリオンは10メートルの巨躯となる。


「アビリティ発動ー極・ギガントスマッシュ!」

「ミリオン!加減しろよ!」

「おりゃあああ」







ーー5分後


「ミリオン、私達は村を救いに来たのだ」

「うん」

「それがどうしてこうなった」

「わかんない!」


 ミリオンの極・ギガントスマッシュにより村は半壊してしまった。


「あ!いたぞあいつらだ!

「村破壊しやがって、タダじゃおかねぇぞ」

「あっははなんか来たよファルコ」

「馬鹿、逃げるぞ」


 二人は迫る村人から逃げるため、急いで村を後にした。


「お前、加減しろっていったよな」

「えー、したよちゃんと」

「それでこれか」


 後日、近隣の村々にゴブリンに襲われていても巨人の冒険者だけは呼ばない方がいいという噂が急速に広まった。

 



 

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