第32話 決戦準備!
「やりましたねオルクス様」
「凄いですオルクス様!」
夜、俺たち3人は大きなトランクを4つ持ってカジノから出てきた。
や、やってしまったつい楽しくて4分の1どころか年売り上げの2分の1以上を稼いでしまった。
「オルクス様、これでエイドリアンの屋敷の修繕費は大丈夫そうですね」
「そうだね」
千手は俺に微笑みそう言った。
ていうかこれだけあったら修繕どころか、エイドリアンの屋敷くらいならいくつも建てることができる気がする……。
「オルクス様お金も調達できた事ですし、ベヒモス達の元へお戻りになるのですか?」
「いや向こうには戻らない、まだここでやる事があるからね」
ゲルマン先生は3日後に魔人とエルナス王国の軍が攻めてくると言っていた。
さすがの俺でもなんの準備なしに勝てる自信はない。
故に準備をする。
「なるほど、それではどこへ向かわれるのですか?」
「うーんと、とりあえずデリアリの外かな?」
「え?」
「悪いけど千手は先にベヒモス達のところへ戻っててくれ、アビリティ発動ー異空間の扉」
俺はそう言うと異空間の扉を作った。
「わかりました、こちらのお金はどうしますか?」
「一応保管しといくれ、明日の朝エイドリアンに渡しに行くから」
「了解致しました」
そうして千手は異空間へと戻っていった。
「お、オルクス様私はどうすれば良いですか?」
千手がいなくなり、マリアと2人きりになると不安そうにマリアが俺にそう訊いてきた。
「マリアは一緒についてきて」
「わ、わかりました!」
今回攻めてくるエルナス王国の軍勢は5万以上、正直【魔境】アビリティがあってもこの数は普通に無理だ。
ならばどうするか、答えは簡単だ。
他勢には他勢で応戦するしかない。
「さてと、それじゃデリアリの外へ移動しようか」
「はい!」
俺はアビリティー集団転送を使い、マリアと共にデリアリの外へと出た。
「よしこの辺りでいいだろう」
俺はデリアリの外の何もない平野に移動した。
「オルクス様、ここで何をなさるのですか?」
「えっと、簡単に説明すると軍を作ります」
「な、なんと!」
マリアは俺がそう言うと嬉しそうに飛び跳ねた。
なんでマリアが喜んでるのかはよくわからないけど、軍を作る意味は結構大きい。
ティアナから話を聞いた感じ、今回の騒動には少なからずエンダート派が絡んでいる。
エンダート派の多くは軍部で構成されていることから、魔人絡みの本件ではうちの国の軍が動く可能性はあまり高くない。
故に俺が自由に動かせる軍を組織しておく必要がある。
まぁ、うちの国の軍が動けば済む話だし、あくまでも保険って意味だけど。
「さてとはじめるか、アビリティ発動ー【多重】魔獣生成、出でよスカルマン1000体!」
俺がそう言うとデリアリの何もない平野にスカルマン1000体が出現した。
「凄い!さすがはオルクス様!」
それを見てマリアは興奮したのか、ぴょんぴょん嬉しそうに飛び跳ねていた。
アビリティー魔獣生成は本来1度に生成できるのは1体のみである。
そのため俺は【多重】を使いその制約を拡張させ、1度に1000体までなら作れるようにした。
ただこうしてしまったことにより、魔獣1体1体の力は低下してしまった。
まぁ最後に魔獣強化も発動させるつもりだから大丈夫だとは思うけど……。
「よしこの調子であと20回やるか!」
「や、やっと終わったぁ」
「お疲れ様ですオルクス様」
約3時間かかったが、スカルマン総勢2万の生成に成功した。
あとはこいつらを魔獣強化でそこそこ強い兵士に変えれば一先ず終了かな。
「アビリティ発動ー魔獣強化!」
あれそういえばこのアビリティって今まで作った全ての魔獣が対象だったような……まぁもういいや考えるの面倒だし。
「おお!なるほどこうなるのか」
総勢2万のスカルマンに魔獣強化をかけたところ、先程までは何も持っていなかったスカルマン全員が鎧と盾、それに剣を持っていた。
これは正直嬉しい、2万人分の武具代とか想像しただけで気絶しちゃうし、それにあと2日そこらで集めるのも無理だったしな。
良かった、良かった。
さて問題はマリアや他の魔獣達だけど、強化されてないといいなぁ。
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