prologue - ある紙切れより


 世界にある日、何の前触れも無しに不死者が生まれた。

 何が原因で、何故身体が不死になったのかは科学者はおろか、本人達も知るよしは無かった。

 不死者になった事が確認できている人間は、2026年の時点で10人である。


 何故不死者と成り果てたのかという解明はまだ進んでおらず、研究者や不死者本人達はそれを『神の悪戯いたずら』と呼んでいる。


 現在わかっている不死者達の特徴として挙げられるものは、ある『モノ』への強い執着心を示すことである。

 不死者────ハルネ・ハーネストを例に出すならば、彼は『愛』に異常な執着を抱いている。

 彼は『愛』を求めるあまり一人の少女の魂ももてあそび、それが原因でこの街で何人もの死者を生み出した。


 他にも様々な特徴が見受けられるが、これから先程例に挙げた不死者、今となっては犯罪者であるハルネ・ハーネストへの事情聴取に向かわなければ行けない為、このメモ書きは一旦ここで終える事とする。


      ────────2026年8月31日 上林かんばやし 裕斗ゆうと

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