第73話 旅立ちの時③

リクはヨシュアと抱き合い、再会を約束する。


「またあしょぼうね!」ヨシュアが笑顔で言う



「うん!チ…ヨシュア、またね!」笑顔で手を振るリク



ヨシュア達が見えなくなると、自分も小さな鞄を持つとレオナルドとリタの元へ行く。



「とうしゃん、かあしゃん、ディークにーに!よろちくおねがいちましゅ!」



丁寧に挨拶するリクを愛おしそうに抱きしめるリタ。レオナルドもディークも笑顔で見守っている。



「あっ!しょうだ!これみてー!」



リクは鞄を開けて紙を取り出すと、リタに渡す。



「リクに言われて、俺が書きました。」ケイシーが苦笑いする



リタやレオナルドはその紙を見て、笑いを堪えている。ルルとアンリは気になりそっと覗く。



リクについて


・朝は4時頃起きます。ご本を読んでます。


・トイレはお願いします。


・ご飯はいっぱい食べます。でも食べ過ぎて吐く時があります。



「「ぶはっ!」」吹き出すルルとアンリ



レオナルドも我慢が出来ずに笑う。リクは何故かどや顔をしているのでリタとディークで誉めてあげる。



そしていよいよお別れの時間です。



「リク、元気にやれよ!たまには遊びに来い!」



ケイシーがリクの頭を撫でると、リクは目に涙を溜めてケイシーを見る。



「ケイシー…すん…じぶんでおきてくだしゃいね…」



「お前な…」



二人らしい挨拶だ。



「リク、あんたは爺くさいけど…子供らしく我儘も言いなよ!」



アンリがリクを見て言う。



「すん…すん…すん…すん…」



「何か言えよ!」突っ込むアンリ



リクは黙ってアンリに抱き付く。アンリも苦笑いしながら抱きしめ返す。そしてルルの前に来たリクは、大泣きし始めた。



「えーー!何でよ!」



「ルル……ありがと……だいしゅきでしゅ…うわーーん!」



ルルは笑顔でリクを抱きしめる。



「私もリクが大好きだよ!また直ぐに会えるからそんなに泣かないの!」



「すん…すん…うん!」



鼻水を垂らしながら笑うリクを、ルルは苦笑いしながら鼻水を拭いてあげる。レオナルドとリタに挟まれて真ん中で嬉しそうに手を繋ぎ出ていったリク。



「おちび達行っちゃったね」



「次は私達かぁ…取り敢えず明日また会えるんだけどね!」



そう、明日はオールドウィン家で勉強会があるのだ。その勉強会にはアンリとリクそしてエドワードも来るので、いつものメンバー大集合なのだ。



「感動の別れから、次の日に会うって面白いな」笑うアンリ



ルルも自分の卒業に不安を感じながら、次の日を待つ。

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