第6話 ランバートとチロ
勉強会が終わり戻る準備をしていると、ランバート先生が声をかけてくる。
「君がルルさんですね、ジョンさんがいつもあなたの話ばかりしているので会って見たかったんですよ。」
「ジョンさんがですか?」
「はい、ルルは世界一可愛いとか天才とか誰にも嫁にやらんぞとか」
「恥ずかしい!もう!なんかすいません!」
ランバート先生は私と話していても視線はチロにいっている。チロは一生懸命にお絵描きセットを片付けている。
「…坊や、手伝おうか?」
ランバート先生がしゃがみチロに話しかける。
「んーん、チロはひとりでできるよー!」
「そうですか、偉いですね!」チロの頭を愛しげに撫でる。
「チロはおいこうだから!」
ランバート先生とチロには何かあるな。ジョンさんに事情を聞いてみよう。私達はランバート先生に挨拶をして教室を出ていく。チロも懐いたのか手を振っている。
「優しいし格好いいし教えるのも上手だし完璧じゃん」
「アンリが気に入るのは珍しいね」
「そうかな?前があのブタだしねー。でもあの人多分いい身分の人よね」
「私もそう思う…ねえチロはあのお兄さん好き?」
私と手を繋ぎスキップ(できていない…)をするチロに聞いてみる。
「ちぇんちぇいすきー!チロはえらいって!」
「そうだね、チロはお利口だもんね!」
「うん!」
ルル達が戻ってくると院長先生と話すジョンさんがいた。ジョンさんは私に気付いて嬉しそうに近付いてくる。
「ちゃんと勉強してきたか?」
「うん。ねえジョンさん、ランバート先生ってチロの何?」
ルルの問いに驚いた顔をしたジョンさん。でも私が真剣な顔をしているのを見て院長室で話すといい2人で行こうとしたが、チロが泣き出してしまいしょうがなくチロも一緒に行くことになった。
「チロ兵士!静かにしているのであります!」
「あい!だんちょー!」
その掛け合いを微笑ましく見つめるジョンさん。院長室に入るとソファーにチロと座る。反対側にジョンさんと呼ばれて来たランバート先生が座り、院長はルルの横に座る。
「ルルはやっぱり賢いな。」ジョンさんは嬉しそうだ。
「じゃあ私が思っている通りなの?」
「ルルは何が不安なんだ?」ジョンさんが優しく問う。
「…チロは私の弟なの!今さらチロを返せって言うつもりですか!チロが見つかった時死にかけてたんですよ!ガリガリで汚れてて…グズっ」
私は涙が止まらなくなってしまう。
「ねーね、どーちたの?いたいいたい?」
チロは私が泣き出したのが不安なのか一生懸命聞いてくる。私は必死に涙を止めようとしたがチロを見ると止まらない。
「ルル、不安にさせたな。ちゃんと話すから聞いてくれ」
ルルは頷く。
「ねーね、見て!」
チロが思いっきり変顔をする。私を笑わそうとしているらしい。
「プッ」つい笑ってしまう。
チロ、ありがとう。
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