第80話 僕の秘密

「では試験的世界なのになぜアダムの末裔が?」


(発端は五百年前にさかのぼります。虚飾の神の台頭です。彼の正体については口外出来ません。残念ながら、彼のことを説明するとややこしくなってしまう)


「ウリエルさんと争えたことは?」


(その表現は正確ではありません。ただ、言えるのが歴史は繰り返す。今の時代に。配役は揃っているのです)


 何だかきな臭い感じになってきた。死の王が虚飾の神にとって代わる存在だと言うことか。


(アダムの末裔、あなたも私達に隠しごとをしていますね? あなたは『創られた存在』ですね?)


「ご名答です。ただ、僕の『創り主』は僕を自由にさせておくことにしている様子ですが」


(模倣という存在ですか?)


「彼は僕を違う可能性として存在させたい。ただ、それだけの様です。この世界とは何ら関わりを持たないと決め込んでいる様子で。多様性ですよ。僕は独立した存在です。だからこそウリエルさんとも逢えた」


(なるほど、観察者に留まる存在ですか)


「この世界において彼は介入しない。彼自身の世界に介入しないのも僕の原則でしてね。代わりに彼も僕の世界に介入してこないのです。まあ、その話は本題からそれるので置いておいて」

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