第39話 キリスト教のうんちくを垂れる僕
ソドムを離れていくと段々穏やかになっていく。野蛮なゴブリンが徐々にいなくなり、装甲車を使う必要もなくなった。
今では幌が付いた馬車を出してもらってゆっくり学術都市に向かっている。ウリエルも休憩中で後ろの荷台の中で眠っている。
アーサーが隣で僕の話に耳を傾けてくれる。
「へえ、神様って海を割ったりとかもしたんですか?」
「ああ、僕が産まれるずっと昔の話だけどね。後、洪水とか起こしたりもしたね」
「何だか神様って怖いんですね」
「ものの見方次第だよ。神様が世界一の人殺しだって言う人もいるけれど、逆をいえば人ごときが神様に逆らって無事で済むのかなって話さ。君は何か作ったことがあるかい?」
「料理を」
「失敗したことは?」
「ないですけど、大祭司様が不味いと感じて捨てられてしまったことはありますね」
「まあ、それと近いかな」
「えっ、どういうことですか?」
「仮に料理に心なんてものがあったら哀しい結末だよね。でも作った人が諦めたなら捨てる」
「で、でも料理と生き物じゃ違いすぎますよ……」
「まあ、その辺りが僕らの弱点さ。僕らは自分達を生き物だと主張するけど、神様から見たら創ったものの訳。創られた者が創り主の御心を無視してどうこう言うのは傲慢でお門違いなことって話なんだ」
「それではウリエル様も同じなのですか?」
「その辺がね、難しいところでね。まあ、いずれおいおい話すよ」
本当にウリエルの立場は微妙だ。昔、熱烈な天使崇拝が流行った時期があった。その筆頭にいたのがウリエルだ。
しかし、あまりにも人気過ぎた為に教会から堕天使の烙印をおされてしまった。今でこそ四大天使の一人と数えられるまで名誉は回復しているが。
天使崇拝は偶像崇拝と繋がるから危うい。カトリック教会は穏やかだが、原理主義に基づくプロテスタント教会は基本的に認めていない。まあ、聖者認定位は許されているだろうけど。
この幼女、計算づくで麻雀仕組んだだろう。だから堕落者扱いされるのも少し分かる気がしてきた。
ウリエルは天然で腹黒い幼女だ。可愛さに騙されてはいけない。天然というのが又困りものなんだよなあ。
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