第37話

朝のHRで煽られたせいで授業中もずっと気持ちが昂っていた

どうせ二学期になった所で陰陽術の授業は放置されて終わりだろう

それでも今のこの昂った気持ちならいつもより充実した練習が出来る

そんな気がしていた…



担任「霊装の扱いも大分良くなってきたから、そろそろ次の段階に進もうか」


俺の予想は直ぐに裏切られた

陰陽術の授業、いつもなら居るはずのない担任の姿がそこにはあった


担任「なんだお前ら?この私がわざわざ教えてやろうってのになに呆けてんだ?死ぬ気で喜べよ」


驚いているのはどうやら俺だけではなかったようだ

にしても相変わらずの口の悪さだな


担任「陰陽基礎術を教える。基礎術全部誰か言ってみろ」


藤原がスっと立ち上がる


藤原「陰陽基礎術とは、「集撃」「障壁」「霊弾」の3つの事です」


黒川「今更基礎術ですか?俺ら使えますよ」


もはや定番とも言える黒川の野次

担任は大きなため息を吐く


担任「はぁ……そうだな。じゃあ黒川この3つの中でどれが1番難しい?」


黒川「??そりゃ霊弾でしょ?」


当たり前でしょ?と言わんばかりの表情で答える


担任「ホントにそうか?」


含みを持たせた返答

藤原は何かに気付いた表情をしていたがほかの皆はよく分かっていないようだった


担任「ならそうだな。黒川の霊弾を杉山が障壁で防いでみろ」


霊装展開した2人が向き合う


黒川「ほんじゃ!いくで」


黒川は右手を前に突き出す

突き出した右手に白い霊力が集まっていく


杉山「しゃ!こいや!!」


杉山は両手を突き出す

両手の前に白い霊力で壁が出来た


黒川の右手に集まった霊力は完全な球体になったと同時に杉山に向かって放たれる


バンッ!!


霊弾が障壁にぶつかると壁を殴ったような音がした

霊弾は跡形もなく消えたが障壁はそのまま残っていた


担任「お前ら、霊弾と障壁どっちが消費霊力が大きい?」


黒川「ん〜。障壁のほうがちょっと多いすかね?」


杉山「あんま変わんないです」


担任「消費霊力が同じくらいなのに霊弾じゃ障壁を壊せない。なら障壁の方が難しいんじゃないのか?」


杉山「いやっ、流石にそれは暴論でしょ!霊弾と障壁じゃ用途が違い過ぎる」


担任「ホントにそうか?難しい術ほど消費霊力は多くなり、威力も強くなると思うが?」


詳しく分かってない俺でも担任の言うことがおかしいのは何となくわかる


担任「まぁ言いたいのはそんな事じゃない。じゃあ杉山、どうやったら霊弾で障壁を破壊出来る?」


杉山「そりゃ数打ちゃ壊れるでしょ」


当たり前のように答える杉山だが、俺は少し引っかかった

同じくその違和感に気付いているであろう藤原が口を開く


藤原「霊弾の威力を…あげる?」


藤原にしては珍しく自信がなさそうな様子に俺は疑問を抱いた

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