第36話

見開かれた目は真っ赤に染まり、血管が皮膚の上に浮き出ている。



「ガアアアアアア!」



美世が雄たけびをあげ、天を仰いだ。



その瞬間。



巻かれていた包帯がブチブチと音を立てて千切れ始めたのだ。



「これは素晴らしい。筋肉も変化を遂げているようですね」



覆面男が楽しそうにそう言った。



筋肉に変化!?



そうしている間に包帯はすべて剥がれ落ち、美世の顔が現れていた。



昨日剥がされた皮膚はそのままで、頬やおでこの筋肉が異様に盛り上がっている。



美世の心臓が動くと同時に、顔中の血管が大きく上下している。



まるで化け物だ!



「本当はその化け物と、残った2人で戦ってもらう予定だったんですけどねぇ」



あたしは悲鳴を上げることもできず美世を見つめた。



美世はジリジリと近づいて来ている。



美世の体が揺れる度に、筋肉がボコボコと浮き上がってくるのが見えた。



あたしは手を伸ばし、壁に飾られているナイフを手に取った。



こんなもので勝てるなんて思えない。



きっと、あたしはここで殺される……!

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