恩師


わたしたちの先生は猿だった

猿と人間の遺伝子は少ししか違わなかった

だから猿も人間も一緒だ

野菜も食べたりする

先生はけして諦めたりはしなかった

決勝戦で先生は猿だけれども飛び入り参加した

「ききいっ」

猿特有の奇声を発しながらグラウンドに躍り出た

「そこの毛深い人は退場っ」

早速ホイッスルが吹かれた

先生は審判の制止を振り切って試合に臨んだ

夢は、叶う

そういったことをわたしたちに身をもって教えたかったのかもしれない

麻酔銃を撃たれた

本来いるべきではない存在が本来いるべきではない場所にいたからだ

先生はくるくる回って倒れ込みもう二度と起き上がることはなかった

実弾だったのだ

猿がいけないのだ

わたしたちは先生に駆け寄った

「せんせえ!」

帰りに焼きもろこしを購入して食べた

思い出

その中で先生の笑顔は永遠に輝き続ける


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