掃除屋と黒猫1 掃除屋と黒猫と王室のタネとしかけ
こたみか
序.
それは遠い記憶。大きな手、優しい声。大きな手、ざわめく人波。華やかな街、小さな手。
すべてを持って生まれた。すべてを失った。
多くを望まれた。多くは望まなかった。
記録にはない、誰も口にしない、それは消し去られたはずの事件の断片。
小さな欠片が微かな傷を作り、それは徐々に大きくなって、腫れ上がる。そしてじわじわと膿んでいく。
侵食されていく感覚に胸をかきむしりたくなる。築き上げてきた全てを崩される、そう考えただけで、言いようのない感情が込み上げてきて、どうしようもならない。
けれどひとつだけ、確かなことがあった。
希望をこの手から溢してはならない。光を誰かに奪われてはならない。
そのために歩き続けてきた道なのだ。何があろうとも、成し遂げてみせなければ。
たとえこの身が、罪に汚れようとも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます