RPGライフ
夏木
Game1
「人生やり直しできないのだから、慎重に選びなさい」
どこかの偉い人がそう言っていた。
でも、もしやり直せるなら。
そう考えたことはないだろうか。
無理なことだと言わないでほしい。
だって、やり直したいんだ、今の生活を。
☆
四月十日。
違う学校選んどけばよかった。
夢に描いていた生活がそこにないと悟ったのは、高校の入学式を終えてたった三日後のこと。
莫大な課題を出された日が続いたからだ。
各授業毎に出されたそれをこなすには、放課後に遊んでなんかいられない。
入学直後から何とかそれをこなしてきたけど、もう限界だった。
睡眠時間をも削って、勉強ばかりの生活。
体力がすり減った体は重い。
赤いネクタイのブレザーの制服がまだまだ体に馴染まない。
重い教科書や参考書を入れた鞄が、ずっしりと肩にかかる。
あまりにも疲れ切った体。駅から学校まで向かう歩く足がふらつき、頭が揺れて、視界がぐるりとまわった。
見えるのは一面の青い空。
それでやっと転んだことを知る。
このまま無様な姿を見せてなんかいられない。
辺りには同じ制服を着た生徒がぞろぞろと学校に向かっているのだ。
地面で寝そべっているなんて、みっともない。
はぁ、とため息を吐きながら上半身を起こす。
転んだ時にぶつけた腰をさすっていれば、キキーッという高い音に、甲高い叫び声が耳に入った。
音が聞こえた方へ顔を向ければ、すぐ前に大きなトラックが。
あ、これは死んだな。
この学校を選ばなければよかった。
後悔しながら、死を覚悟した。
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