地球じゃ魔王は最弱種族⁉
楽太
第一章
第1話
「魔王様!魔王様ー!」
魔王城の執務室でいつものように仕事をしていると、部下が慌ただしく駆け込んできた。
「何だ?」
「魔王様!勇者が!勇者が攻めてきました!」
「ほう、勇者が……遂に来たか」
勇者、またか。
やれやれ、我の魔王専用スキル『看破の魔眼』によって判明したステータスがリアルに百分の一以下しかない四天王達に苦戦するような奴等をどれだけよこそうが無駄だという事がまだ分からないのだろうか。
そんなことを考えつつ自分のステータスを見る。
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名前 シリウス
職業 魔王
称号 魔族の王
加護 なし
基礎能力値
HP5300000/53000000
MP200000000/20000000
物攻460000
物防435000
魔攻500000
魔防420000
敏捷450000
幸運2
スキル
魔王Lv10(七魔眼、魔王魔法、絶対防御障壁、超再生、魔力支配、魔王覇気etc) 基本属性魔法Lv10 全属性魔法耐性Lv10 物理攻撃耐性Lv10 精神攻撃耐性Lv10 身体強化Lv10
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はっ!我最強じゃね?
なぜか幸運が異様に低いが、まぁ所詮は幸運。
我が力をもってすれば容易に覆せるだろう。
矮小な人間のステータス平均は十、騎士たちが百、英雄と呼ばれる者たちが五百から千、つい最近襲撃してきた勇者でも千から二千程度でしかなかった。
たとえ『勇者』スキルで我に対する攻撃力が倍になろうが我が防御力の前にはかすり傷一つ付けることはできない。
スキルに至っては我以外にスキルレベル5を超えている者など見たことが無い。
つまり!その程度の輩に我が負けることなど万に一つ、億が一つにもあり得ない!
それはそうと、愚かな人間などいくら死んだ所で一向にかまわないが、もう三度目だぞ、勇者襲撃。
今回は異世界?だかから人間を召喚して勇者としたらしいが所詮は人間。
第一、第二の勇者同様今回も薙ぎ払ってやろう。
歴代魔王達は全員勇者に殺されたと聞いていたから第一の勇者襲来時には死んでもいいように自分に転生の秘術までかけたのにあっさり一撃オーバーキルで勝ててしまい拍子抜けした。
第二の勇者襲撃時にもまぁ第一の勇者が弱すぎただけかもしれないと思い全力で臨んだがまたも一撃、当然の如くオーバーキルだった。
だがまぁ、第一、第二の勇者らに四天王が全員殺されてしまっている今、我以外が勇者を相手取る事になれば無用な死者を出すことになりかねない。
仕方ない、我が迎え撃つとするか。
「我が直々に殺す。皆は裏口から退避していろ」
「御意」
部下が執務室から出ていくのを尻目に、『魔力感知』で勇者の位置を辿る。
「さて、勇者は……お、これか……ほぅ、王の間に向かっているのか、都合がいいな」
王の間は通常、謁見の場であるが、この魔王城の場合は少し違う。
魔王城において王の間とは、第一の勇者を迎え撃つ前、勇者と戦う場所として改築したため、ものすごく頑丈に設計されている。
つまり、王の間ならば戦闘をしても建造物への被害を最小限に抑えられるのだ。
第一の勇者、第二の勇者の襲撃時には主に我の攻撃の衝撃によって城のあちこちが破壊されて改装のために莫大な費用が掛かり、莫大な額の補正予算を捻出することになってしまった。
そのせいで国庫はカツカツである。
三度も同じ間違いを犯すわけにはいかない。
国税は有限なのだ。
「よし、王の間にて勇者を迎え撃つとしよう。そうと決まれば、『遠見の魔眼』『転移の魔眼』」
『遠見の魔眼』で遠く離れた王の間を見て、目に見える範囲内を転移する『転移の魔眼』で王の間へ転移した。
王座に座り、しばらく待っていると扉の向こう側から気配を感じる。
ここへ来てから大きな音はしなかった。
皆はうまく逃げたという事だろう。
よし、勇者が入ってきたらまず『看破の魔眼』で能力を見て、その後魔王らしく名乗りでも上げたら建造物に最大限の配慮をしつつ殺すとしよう。
しばらくすると扉が開かれ、勇者の姿が見えた。
ほうほう、勇者は男か、黒髪黒目とは珍しい、我と同じではないか。
顔面はぱっとしないが……
ステータスはどんなものかな?
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名前 剣崎勇人
職業 勇者(異世界)
称号 異世界人 絶対魔王ぶっ殺す世界の住人 中二病患者 サイコパス 勇者
加護 女神アリエスの加護
基礎能力値
HP6225/6225
MP12050/12050
物攻 2150
物防 1220
魔攻 2600
魔防 1760
敏捷 1840
幸運 1000
スキル
地球人Lv1000(対魔王攻撃力1000倍、魔王攻撃無効、魔王防御無視、対魔王超デバフ、対魔王再生超鈍化etc) 勇者Lv10(聖光魔法、聖剣召喚、対魔王攻撃力2倍) 全属性魔法耐性Lv5 物理攻撃耐性Lv5 精神攻撃耐性Lv5 身体強化Lv5
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……。
……。
……。
は?
地球人……Lv1000?
ナニ、コレ?
「俺の名は剣崎勇人!魔王シリウス!お前を倒すべく異世界から召喚された「お、おい!き、貴様!なんだその……スキルは!?」は?スキル?何のことだ?」
まずいまずいまずい!
『魔王攻撃無効』?『魔王防御無視』?『対魔王攻撃力1000倍』?なんだ『地球人Lv1000』って!?ズルいではないか!?
「もういいか?そろそろ行くぞ!『身体強化』!『聖剣召喚』!」
勇者が召喚した聖剣を上段に構えながら我に向かって走り出す。
おっそ!それに何故まっすぐそのまま走ってくる。もっとフェイントとかいれろよ!そんなの簡単に避けられるぞ!
我は回避行動に移ろうとする。
しかし何故か体が思うように動かない。
これは『対魔王超デバフ』か!?
え、まさか我、こんなバカみたいな攻撃してくる奴の攻撃を避けられないのか?
そんなの末代までの恥なんだけど。ねぇ。
そんな事を考えている内にも勇者の聖剣は迫ってくる。
いやだぁぁぁ!
我の方が強いのにぃぃぃ!
あ
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これが人類に恐れられ、勇者を二度も撃退した魔王シリウスの最後の思考だった。
しかし、シリウスはまだ知らない。
彼の地獄はまだ始まったばかりだという事を。
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