なんのとりとめもない僕らの話

胃が痛い

 私は、素敵

 私は、端正

 私は、可憐

 私は、綺麗

 この世界の中で、私だけが特別なの

 私だけは他と違う

 遥か高くにある太陽や月は、私を照らすためにある

 太陽は、より輝かしてくれる

 月は、より美しくしてくれる

 私のために多くが存在している

 そんな世界に私は生きている



 私がいる場所はどこか黒く、茶色の古びた世界

 緑も近くにあるけれど、どこか寂れた緑たち

 私によく似た仲間たち、特別な私に届かない

 私一人が輝く世界

 私以外は色褪せている

 私が少し可哀想

 これまでも、これからも変わらない世界

 そんな場所で、私は生きてる



 私から見える別の世界

 私たちとは、違う存在がたくさんある

 そこに私は心惹かれる

 一度いいから行ってみたい

 特別な私がもつ唯一の願い

 けれど、私たちには決して届きはしない世界 

 足を踏み入れることができない世界

 特別な私でもどうにもならない

 どれだけ望んでも、願っても届くことはない

 私の周りを這いずり回り、飛び回るもの達は行けるのに、特別な私には行けない

 私の唯一の願いは叶わない

 私は本当に特別なのかな

 


 でっかいものがやってきた

 私たちを踏みつけるがごとく歩き回る

 身を小さくして、何かを探しているみたいだ

 私の仲間たちが抜き取られては捨てられていく

 でっかいものがだんだんと私に近づいてくる

 でっかいものが私に触れた

 怖い、嫌だ

 私の願いは叶わない世界でも生きていたい、抜かないでよ、お願いだから

 痛みを感じながら、私は生まれて初めて中を舞った

 一瞬だったけど、新しい世界が開けた

 捨てられてもいいやと思ったけど、私は捨てられなかった

 捨てられた仲間、捨てられなかった私の違い

 だって、私は特別だから。でっかいものに透明な世界に入れられた

 でっかいものが私を連れて歩く

 その中から、私はたくさんの世界を見た

 特別な私だから、願いが叶った

 あぁ、やっぱり私は特別なんだ

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