第5話 泥棒
夜道で暗い女性から声をかけられた。
「あの……てください」
「え?なんだって?」
「だから……てください」
声が小さすぎてなにも聞こえない。
「何をあげればいいの?」
「それ」
最後にニッコリ笑った彼女に、
俺は大事なものを奪われた。
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