読みさしの本を閉じて 立ち上がるまでが昨日のこと


知りたがりをして てのひら丸めてるのが今日からのわたし


釘刺すような雨に 髪の先だけ濡らして 


無言のままのレインコート 内側にそっと温もりを求めるとき


はじめて持ったちいさなハンド・ミラーの

一途な重みを思い出す


舗道に染み出してくる 誰かとの絆を踏みしめながら

かつては形のあった あの意地悪ともすれ違う


――そう その一言が欲しかった気がします


おしゃべりは得意なほうでもないから……

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