変身

 真壁との一件あとそれを全部綾瀬に報告した。

 それを聞くと綾瀬はうーんと頭を抱える。


「佐山さん、金銭的なサポート言いましたがいくらでも使っていいわけじゃないですからね?お仲間を増やすのは構いませんが」


 え?いくらでも経費で落とせるんじゃないの?学園のムカつくやつの写真はってあるサンドバック代とか大量に買ったエロ本代も経費でいけるよな…


「それと、その前に違う仕事です」


 綾瀬に手紙を渡される、その封筒を開けると指令書見たなものが入っている。そして赤いマークででかく排除と書いてある。


「殺害命令か...」


 綾瀬から殺害命令時を遂行するための新しい装備一式をもらった、なかには修行の時使い方を覚えたものがたくさん入っている、これをみると黒人との修行の記憶を思い出す。


 ~~黒人との修行中~~


「はあ、はあ、昔は赤の稲妻と恐れられた俺がなんで、、、こんなことを、99!100!」


 疲れて倒れこんでしまった。格闘の戦闘方法なら練習する意味はわかるが、筋トレがいくら何でも多すぎる。


「またその話か、いまの兄弟のたるんだ体型的には紅の豚のほうが近いけどな!ハハッ!」


 黒人は俺を馬鹿にしながら高笑いする。

 オブラートに包んでいうけど死ね。


「ニート生活で負け犬根性がついちまってるな、自信を持て!デブってのはそれだけ筋肉に変えられる元があるってことでもあるんだ。今のお前の体は、まさに磨けば光る宝石みたいなもんだ、筋肉ムキムキになったら兄弟の好きな巨乳のお姉さんにも持てるぞ!」


 デブをやせようとさせるための常套句みたいなことを言われる、本当なのそれ


「どうだ、シックつかってみ、昨日よりはるかに使えるようになってるだろ?」


「・・・」


 本当だ、ほんの少しではあるがシックを使えるようになっている俺はあの時すべて封印されたと思っていた。


「お前には相当才能があるよ、そうじゃなきゃただの素人デブがここまでできるわけがない」


「才能ねぇ・・・」


 ~~~


 今思い出すとゲロ吐きそうなくらい辛かったな、というか何回か吐いた。

 綾瀬から隠密行動をするときに使えとのことで強力な毒ナイフをもらった。本来ならシックの壁で簡単にはじかれるが常時はっているわけではないので暗殺に使うなら十分有効な武器だ。ほかにもいろんな装備が入っている。


「でもこれ服とかは?」


「ようやく渡せる日が来ました。これは我々の研究部がつい先日開発した対シック用防具です!、ナックルダスターと同じでシックを完全にではないですが無効化できます、しかも佐山さんのために封印されているシックが20%ほど出せるようになってるとか。これでもう敵を惨殺できますね!でも仮面自体の効果で外に使うシックは無効化されちゃうんで自分にかける【超感覚】とかの身体強化系のシックしか使えませんけど」


 彼女はにこやかな笑顔で言う。笑顔はかわいいけど言ってること怖いんだよなー。

 試しにファミレスを出て仮面をつけたら仮面は変形をはじめ、鎧のような黒く硬い皮膚が俺を包んだ、鏡を見ると顔には一本の角が生えてある、動きやすいように鎧自体は薄い構造になっているようだ。すげえ、仮面ライ〇ーみたい。しかもとても動きやすい。


「20%か、、、常にこれつけて戦っちゃダメ?」


「だめですね、使っていいのは本当にヤバイって時と、隠密行動の時だけです。そもそもこんなかっこで戦ったらめちゃくちゃ目立って疑われますよ、なので学園関連で使っていいのはそのナックルダスターだけです、まあナックルダスターもポンポン使われたら困りますけど」


 俺戦いに制限ありすぎ?これ酷すぎ?でも俺はやる気、その強さまさに花粉症へのスギの木 yeah


「これで闇の仕事をしろってことね、で俺は誰を殺せばいいの?」


「【銀の剣聖】立花卜伝です」


「あのクソジジイか・・・」


 【銀の剣聖】立花卜伝、【七色】の一人にして剣の真髄を極めた男、昔はシックが流行る前から剣道の師範だったらしく、シックを使う剣術、次元流を作り上げ、今では日本中にその名を轟かしているようだ。奴の鞭のようにしなやかで素早い銀色の剣技は幾人の犯罪者を切り刻んだ。銀色を見るたびに卜伝の刀を独房の中でも思い出し、そのトラウマに悩まされるものも多かったと聞いたことがある。


 当然俺を騙し罠にはめたときもその場にいた。さも当然、こうなって当たり前だ、みたいな冷徹な

顔をしていたのをよく覚えている。


「問題は今の俺で勝てるかどうかだな」


「私のサポートとその仮面があってもむりですか?しかも相手は80のおじいちゃんらしいですよ?」


「あいつの流派の次元流は、一度しか見たことないがすさまじい剣裁きだ、年をとったとは言えどこまで動けるかってのが気になるな」


 先が思いやられる指令だ、しかし同時に心の中に期待もわいてきた、ようやくやつら俺を貶めた八の一人に復讐できるのだから。


「とりあえず作戦はあとで考えておくわ、それで一応聞くけど、殺す命令の理由は?」


「・・・聞いてないですね、佐山さんの最初の復讐相手にちょうどいいと上が考えたのかもしれません」


 彼女は含みを込めた言い方をしたように感じる、だが理由なんて俺には関係ないことだ。復讐そして彼女に近づけるのならなんであろうとかまわない。

 しかしどうやって殺せばいいものか、しかも一週間後には一年最強のやつも仲間に入れなきゃいけないし、生徒会のヤツらとか学校の宿題とかやることが多すぎてどれから手をつけていいかわからない、、課題が終わらないよー!ママー!


「綾瀬…俺の宿題くらいはやっといてくれない?」


「まあ、それくらいなら仕方ないやってあげましょうその代わりしっかり作戦考えてくださいね」


 ヤッター綾瀬ママー!!

 ノリで綾瀬に抱き着こうとするが躱され、地面に転ぶ。

 地面にぶつかった顔がいてぇ、相変わらず手厳しい女だ。

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