第8話

とっておきの場所に万莉を連れて行った。

「わぁー!すごく綺麗〜!」

お気に召したようだ。ここは、流夜のお気に入りの場所だった。人間が手を加えていない真の自然。此処から見る夕日は、とても美しいのだ。万莉の美しさには敵わないのだけれど。

流夜は、首を振る。そんなことを考えている場合じゃない、と。此処が最後の場所、ということは、デートの最後にすることをしなければならない。自然と万莉の唇に目がいく。柔らかそうな薄桃色の唇。

そして、流夜は…

「万莉…!」

「ん?なあに、流夜?」

「いや、…その…。」

「どうしたの…?」

万莉の顔が近づく。流夜は、その唇に己の唇を重ねた。

「ふぇ?」

予想外の展開に万莉は目を丸くする。

キスが終わった後、流夜は言った。

「そのだな…万莉…お、俺と…付き合って、ください…!」

万莉は、またもや目を丸くすると、頬を染めながら言った。

「喜んで…!!一緒だよ!約束だからね!」

「ああ!約束だ!」


「思い…出した…!」

流夜、否、玲は呟いた。むろん、真姫の唇はもう離れている。

「やっと…!!」

「忘れててごめんな、真姫、いや、…万莉。」

「大丈夫だよ!無事、思い出してくれたんだし…!もう、一緒だからね!」

「ああ!」

玲は、何故、疑問に思わなかったのだろうか。

真姫の姿が前世の恋人、万莉と寸分違わず同じなのか。確かに、前世と全く同じ顔で生まれてくることもあるだろう。だが、そうではない。彼女の身を包む服までもが全く同じなのだ。

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