第37話 EEE



 夢を見ていた

 ひどく優しい夢を

 酷く辛い夢を


 目覚めて見て初めて分かった

 それが所詮は夢にすぎないものだったと


 この目が映していたのは存在しないもの

 決してこの手が掴む事の出来ない奇跡の一端


 心を冷やそう

 熱をこの身に灯して

 どうせ元には戻れやしないのだから


 世界から取り残されて

 一人で戦い続けて来た


 ここで終わるなら

 せめて望みを叶えて欲しい

 安らかな最期を

 一抹の慰めを


 心を冷やそう

 熱をこの身に灯して

 どうせこの道を帰る事は もうないのだから


 正当な裁きを受けよう

 ふさわしい最期を迎えよう


 見ていた夢の分だけ心が痛むけれど

 それももうじきなくなる

 感じなくなる


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