第10話 クロックワールド『ただ砂時計の生命』



 この世界に 存在してしまった 生まれてきてしまった

 真実すら知らずに ミライすら知らずに

 残酷な明日も分からずに


 永遠を繰り返すこの世界の中で

 いつまで縛られ続けるのだろう


 始まった時から定められた宿命は時計通りに

 ただ回り続ける


 伸ばした手は どこにも届かない

 誰にも触れられない


 この頬をぬらす悲しみの方が

 幻想であったのなら



 ここまでひたすら 求め続けて来た

 真実の姿が この心を凍てつかせる


 何も感じられないなら 

 何にも悲しまないなら 


 全てを忘れて 諦められたら


 ミライの事も アシタの事も

 憂いなく いられたら


 目に映る彼等 いつか愛した者達の姿ですら

 私は もう 肯定できない 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る