第15話 朝から
「おはよう大翔。今日もいい天気だな」
「あぁおはよう。真夏、話を逸らすんじゃない。なんで横に藤本さんがいるのか聞いてるんだ」
目がガチになってる。ちゃんと話すまで容赦しないって目が訴えかけているよ。
「黒澤くんおはよう。たまたま今日は真夏くんと一緒になってね。それでお話ししながら来てたの。ほら、中間テスト終わってもすぐに期末テストあるでしょ?」
ナイスだ紗耶さん! 俺はてっきり経緯を事細かに説明するんじゃないかと思ってヒヤヒヤしてた。
「なるほど。藤本さんは真面目だなぁ。俺たちなんてテスト始まる直前から勉強するもんな」
そういえば中間テストあまり良くなかったんだった。一年の時は上位だったけど二年になってあるラノベにどハマりして勉強時間が疎かになってしまった。
あぁ。今からその分の遅れを取り戻すのきつい。ただサボった分はちゃんとしないと。
「真夏の場合はテスト始まってもラノベ読んでたけど!」
「そんなこと言わなくて良いから」
今は紗耶さんとのことで頭いっぱいだけどちゃんと挽回するつもりだ。
「こいつ順位がすごい下がって一日中不貞腐れてる時もあったっけ。あの時は大変だったぜ」
「まじでいらんこと言わなくて良いから。横に藤本さんいるからって調子に乗るんじゃない」
男子高校生あるある。女子が近くにいるとはしゃぐ。
「おい、大翔今日当番だろ。早く行かなくていいのか」
「えっ!? 今日俺だったか! 明日だったと思ったんだけどな。サンキュー急ぐわ!」
そう言うと爆速で自転車を漕いであっという間に行ってしまった。よしよし。これでいらないことを言う邪魔者はいなくなった。
ただすまんな大翔。当番は君が言った通り明日だ。早めに心の中で謝っておく。
「ふーん。真夏くん今ちょっとお勉強ついていけてない感じなんだ。なら今日から一緒にお家でお勉強しよっか」
ただ大翔がいらないことを言ってしまったせいで勉強が疎かになっていることがバレてしまった。
「心配しなくても今から挽回するから大丈夫だよ藤本さん」
外で流石に紗耶さんとは言えない。それにしても紗耶さんが結構乗り気で俺に勉強教えようとしてるんだよなぁ。ちゃんと断り切れるだろうか。
「真夏くんこそ心配しなくても大丈夫だよー。私、中間テストよく出来たし教えるの上手って友達からも言われるから大船に乗ったつもりでいてよ」
紗耶さんと一緒に勉強か。それはとても魅力的だ。分からないところを教えてもらうところで顔と顔が近づいたり……手と手が触れ合ったり……
って何を考えてるんだ! 紗耶さんのせいで俺の頭の中がお花畑になってる。
「よーし決定! 今日は一緒に帰ってそのまま勉強しよっ! 勉強嫌かもしれないけど二人で頑張ろうね」
「あ、ちょっと!?」
放課後の予定を勝手に決めるとスイスイと自転車を漕いでいく。
残念ながら断れなかったよ。
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