株主優待で送られたのがまさかの許嫁だった〜どんどん送られてくる優待が俺たちの仲を深めようとするものばっかりなんだけど〜
九条 けい
第1話 優待到着!
山口県下松市。多分知ってる人はほぼいないだろう。自虐でもなくそんな町。日本の市町村なんてそんなものだ。千七百近くある市町村の中で誰もが知っているところなんて一握りだろう。
下松市。これを初見で読めただろうか。しもまつではなく、くだまつと読む。以後よろしくお願いしたい。
そんなこの下松市に他の人に誇れる点があるとすればそれは住み良さランキングトップクラスの常連ということだろうか。実感なんてないけど、確かに不自由はない。
そんなどこにでもありそうな町に住む住民もまあ当たり前に普通な訳で。高校二年になった俺もどこにでもいる高校生だ。
彼女いない歴=年齢なあたり、本当にどこにでもいる高校生。モブ一位の座は俺かも知れないな。
「おいおい、そんなに急いで帰ろうとしてどうしたんだよ?」
六時間目の授業を適当に聞いたらついに放課後。いつもはのんびりと教室を後にするが、今日だけは別。超急ぎの用事があるのだ。
「早く帰らないと行けないんだ。今日だけは絶対に帰らないと」
「なに言ってんだ。図書館行って読み進めてるラノベ読む約束だろ?」
こうして俺に話かけてくるのは俺の友人の
「すまん、今日は中止だ」
「どうした? まさかお前、藤本さんの風邪でもうつったのか?」
「そう言えば五時間目くらいに早退したな。そこまで体調悪そうには見えなかったんだけど。ただ、残念なことに藤本さんの風邪がうつるほど近くに俺は行ってない」
「風邪うつるのと距離って関係あるのかな」
黒澤が言った藤本の名前は
ただ学校一の美少女とか、告白百人切りなどと言った伝説はない。だって山口県だもの。いや、それだと説明になってないか。
とにかく、浮ついた噂もなく成績もまぁまぁ優秀。ただ、関わりがないので知ってることは可愛い女の子ということくらい。
いや、今はそんな話どうでもいい。今すぐ家に帰ることが今の俺の使命なのだ。この俺を止めることなんて誰もできない。
「とにかく、今日は各自で読み進めてくれ。感想は明日言い合おう! さらば!」
まだ何か言おうとしている黒澤を放っておいて教室を勢いよく飛び出す。夏に向けて暖かさが増す五月の風に吹かれながら、爆速で自転車を漕ぐ。
そして十五分。日頃運動していないことが祟って息切れを起こしながらなんとか家に到着。玄関のドアを勢い良く開ける。
「ただいま! 母さん、例の物と届いて……る?」
間違いなく自分の家のドアを開いたはず。しかし、目の前にありえない光景が広がっていた。
「おかえりなさい。私は株主優待で
そう。そこには丁寧に三つ指をついて頭を下げるクラスの人気者、藤本紗耶さんがいた。
お久しぶりです。九条けいです。と言うことで新作です。探り探りでやってますので何か気になったことがあればコメントしていただけると嬉しいです。★応援がめちゃくちゃ励みになります!よろしくお願いします。
近況ノートにイラストを載せています。さぬういという方が好意で描いてくださいました。ぜひ一度見てみてください!
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