第2話
今ではこやつも20になるところまで来た。ちなみに一度たりとも、姿を現したり会話もしていない。
現実の世界で表現すると、ただこちら側が一方的にからかっている風に映るだろう。表面的に表すならば、暇になれば物を落とし、そして物音をたてる、
それを現象として起こしているにすぎない。
発狂するわけでもなく、ただ淡々と物事に勤しんでいくこやつに日々天晴していた。
「こいつぁ…」
やはりこやつは他の生人とは違う…常人だ…
成仏を願う私だが、こやつの成長も気になる…
そんなことを思っていた矢先何やら変異が起こった。
...............
最近、学校から帰って来るや、部屋の電気を消してすぐ寝床に着くようになった。なんの関係からか、学業も疎かになっていった。そんな生活が2.3日続いた。
それは、今までとは打って変わって、初めての変化だった。
「…なるほど…」
一時的なものだろう、所謂ただのサボり、寝ながらそう思った。...............こやつも20か。
「…」
何故か睡眠が遮った。
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次の日はちょっとばかし予定があるので部屋を後にする予定だ。あっちの世界に飛び悪行を「生業」にしていた仲間との集まりがあるのだ。
成仏できない幽霊はあっちの世界とこっちの世界を行き来する能力を得る。あっちの世界というのは現世と天国をつなぐ中間地のようなもので、そこで住を成す霊もいる。所謂成仏できない霊の掃き溜めコミュニティとも言えるだろう。
そこには損得の情報も何も得られないが、時事を知ることができるので、一応毎月出ているようにはしている。
それに、私も一応人間だったので、外に出ない日々など我慢できなくなることもある。しかしこの世界の娑婆の空気は吸えないのだがな。
私ができることはそれについての解明をしてくれる霊が現れることを懸命に祈るだけだ。
ということで、こやつが家を後にした後、私もこの世界を後にすることにしよう。
朝7時50分の出来事だった。こやつが部屋のドアを開ける瞬間、委ねてきた。
「もしここにいるのなら、助けてくれ」
10数年で初めての出来事だったーーーーーー
「幽霊に頼む事ではなかったか、ははっ、、」
じゃ、行ってくるという足運びで部屋を後にしていった。
…
正直返す言葉がなかった。
「とりあえず、方法がないか聞いてみるか…」
目の前を右手で丸を描いて穴を開け、異次元の空間に飛ぶように、頭からスっと飛んだ。
こやつがここへやってきたのは6歳の歳のころだった。
「母さん、この部屋に何かいるような気がするよ。」
入ったと同時に発した言葉だった。6歳の坊主に興味が湧いた時だった。
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