第34話 偶然とデート

 ビピピッ、と、スマホのアラームが鳴った。俺は画面を横にスワイプして、アラームを切った。


 …あれ、今日って会社休みでは。俺はスマホを手に取り、日付を確認する。画面には「土曜日」の文字が。


 うわ、早く起きて損した、もっと寝たかったのに。二度寝すればいいじゃんって思うけど、俺って一度起きるともう一回寝るのって出来ないんだよなぁ。


 …しゃーない、起きるか。


 やべぇ、することがねぇ。うちの会社、休み多いのはいいんだけどすることがない人にとっては無駄すぎる。


 うーん、また適当にどっか出かけようかな。あ、ショッピングモールでも行くか。この前も行ったばっかだけど。


 ◆


 車を走らせること数十分、無事到着です。というか、このショッピングモール、朝七時からやってんのな。普通十時からとかだと思うけど。


 うーん、取り敢えず本屋にでも行ってみるか。新しい漫画とか出てないだろうか。


 よし、着いた。本屋の中には八人程人がいた。まだ朝早いのにね。取り敢えず新刊コーナーにでも行くか。


 お、結構出てる、どれも面白そうだ。取り敢えずこれでも読もうかな。


 俺が本に手を伸ばした時、視界の端っこからもう一本手が伸びてきて、俺の手とぶつかった。


「あ、す、すみません…」


「いえ、こちらこそ…って、あれ?」


 俺が顔を上げると、そこには少しばかり意外な人が立っていた。


「杉皚くんじゃん!またここで会ったね」


 なんとそこには、少し前にもこの場所で会った華成さんが居た。マジか、何だか世間って狭いな。


「あ、か、華成さん。また、会ったね」


「だね、これって運命じゃない?」


「な、んな、運命だなんて…」


「何でそんなに動揺してるのよ」


 そりゃ動揺もしますよ華成さん。いきなり運命がどうのとか言われたら全獣人がこういう反応しますよ。


「な、何でこんな朝早くにここに?」


「んー暇だったから、かな」


「ひ、暇…」


「だってホントに暇なんだもん。杉皚は?」


「ま、まぁ俺も暇で…」


「やっぱ暇だよね。会社が休みだから仕方ないんだけどさ」


 暇だからってここに来るのかな…。他に行く場所は色々あるような…。俺が言えた口じゃないか。


「ねぇ、明日もここに来る?」


「ま、まぁ明日も予定ないし…」


「じゃ、明日もここ集合で」


「い、いいけど何で?」


「…ちょっとさ、私とデートしよ?」


「…え?」

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