第22話 運命の相手
今日は会社が休みだ。1日中フリーだ。暇だ、やる事がねぇ。…けいちゃん今何してるんだろうか。連絡、いや、お取り込み中だったら悪いな。やめとこ。しかし本当にやる事がない…。うーん、散歩にでも行くか。暇だし。
外に出ると、朝の気持ちいい空気が俺を迎えてくれた。あぁ、朝って良いわぁ。生きてるって感じがする。取り敢えずその辺探検してみますか。ご近所探検とか何時ぶりだろう。
~30分後~
…気の所為だろうか、さっきから誰かにストーカーされてる気がする。後ろの方から人の気配が…。い、いや、気の所為だろう。無視だ無視。取り敢えず路地に入ろう。そこに入れば追ってこないでしょ。
「まだ気付かない?」
「無視してるだけ…ん?」
ん?あれ?え、俺、今、誰と…え?
「わあぁ!?」
後ろを振り向くと、図体のでかい黒虎が居た。さっきの正体はこいつか。
「気付いてんなら驚く事ないだろう」
「いや、と言うか誰だよ…」
「おっと、自己紹介がまだだったな。俺は零、
「零って言うのか。よろしくな」
「おう」
…あれ?俺なんで初対面の相手のこんなフレンドリーに?ましてやストーカー相手に…。でも何だかこの虎と話していると、誰かと話している時と同じ感覚だ…。でも誰だ?
「あ、俺の名前言ってない、俺は」
「
なんでこいつ俺の名前知ってんだ!?まさか知り合いだったとか…?いや、黒虎の知り合いなんて…俺の記憶にはない…。
「な、なんで俺の名前を?」
「企業秘密だな」
「何だそれ…」
「まぁここで話すのもあれだ、歩きながら話そうぜ」
「う、うん」
俺達は路地を出て、道路に出る。明るい所で見ると、零の身体がより大きく見える。でもこのサイズ感もどこかで見覚えが…。
「お前ってさ、虎、好きか?」
「と、虎?」
虎、か…。けいちゃんの事なら大好きだけど。まぁ好きといえば好きかな。
「好きっちゃ好きだよ」
「じゃあ俺のこと好き?」
え?今なんて?俺が零に一目惚れしたとでも?俺にはけいちゃんと言う素晴らしきお方が…。
「い、いや、そこまで」
「やっぱりな。お前、啓二の方が好きだもんなぁ」
「な、なんでけいちゃんのことを?」
「そりゃ分かるさ、お前の行動見てれば」
「…お前、俺のストーカー常習犯?」
「ザッツライト」
えぇ…。俺今までストーカー被害に遭ってたのかよ…。何か今更気が付いた自分が情けなく感じる。
「何で俺の事ストーカーすんの?」
「そりゃあ決まってるさ、お前のことが好きだからよ」
「…はぁ?」
今なんて言った?俺のことが好き?何で?
「…なんで俺のこと好きなのさ」
「運命だからかな」
「何言ってんの…」
ダメだこいつ、話通じん。なんで俺はこう、ナチュラルに告白されることが多いんだろうか。学生の時からそうだ、皆して俺に好きと言ってくる割には真面目に告白してこない。
「まぁでも、俺とお前が運命の相手ってことはガチだ」
「何でそんなことが分かるんだよ」
「まぁ、その時が来たら教えてやるさ。じゃあな、言いたいことは言ったから俺はこの辺で」
「え、ちょっとまっ…」
俺が零の方を向いたら、既に零は居なくなっていた。何処に行ったんだ?逃げられる場所なんて何処にも…。…なんだか不思議な奴だったな…。
運命の相手、か。俺の運命の相手はけいちゃんであって欲しいよ。本当に。
あとがき
黒那田零のプロフィール
名前:
性別:雄
種族:虎
年齢:不明
身長:188cm
体重:不明
誕生日:不明
性格:不思議くん
筆者による紹介:色々と不思議な奴です。ただヘラヘラしている訳では無いので下手に煽ると返り討ちに遭うかも。作者と名前が一緒ですが全く関係ないです。蒼哉が誰かに似ていると言っていましたが誰でしょうかね…。
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