第212話子離れ
「そいつを連れて行け…」
男達の証言で黒幕の大臣は喚きながら連行されていった。
「これで裏切り者をやっと処分出来ましたね」
ロードさんが嬉しそうに口角とメガネをあげた。
「ミラがいい具合に煽ってくれたからあっさりとボロを出したな」
別に煽ったつもりなんてないのに…
「中々あの男達が口を割らなかったからな~あいつが怪しいとわかっていたのに捕まえる証拠がなかったんだよ」
「そうなんだ…」
「まぁ国のゴミも掃除出来たし、改めてミラ達への褒美の件だな」
「何がいいのかな?今回の働きは国にとって大変素晴らしい功績だ…なんでも言ってみなさい」
オバジ様が優しい顔でこちらを見つめた…
「ならお願いが一つあります…」
私がチラッとハーパーの方を見ると…バッチリと目が合う。
「待ってくれ!それは俺もなんかわがまま聞いてもらえるのかな?」
するとハーパーが私が何か言うのを遮ってオバジ様を見つめた。
「ああ、君の事情は聞いています。何か望みがあるのですか?」
オバジ様が敬語で話し出すと
「やめてよ、俺は囚人。それは確かなんだから」
「しかし…」
「いいから、俺の願いはずっとあそこにいる事…俺の居場所はあそこでいいんだよ」
ハーパーは私の方を見て頷いた。
「ハーパー…」
あそこはハーパーにとっても大切な場所なんだね…
「だからなミラ、願いはお前の為に言え。俺達に何かしようなんて考えなくていいんだよ。これは俺だけじゃない、あいつらの願いでもあるんだ」
ハーパーがそう言うと、ノアちゃんがピッ!と鳴いた。
そして私の手から降りるとハーパーの傍に行ってしまう。
「ノアも同じ気持ちだ。お前は外に出てこうやって自分の力で自分の地位を作ってる。頼りになる仲間や知り合いもたくさん出来たみたいだしな」
ハーパーは少しだけ寂しそうに笑った。
「うん…わかった。ハーパーありがとう!ハーパーの気持ちもみんなの気持ちも凄く嬉しい…私は本当に素敵なパパ達に育てられたんだね」
ニカッとハーパーを安心させるようにに笑って見せた。
ハーパーは複雑な気持ちでミラの成長を喜んだ…寂しいような嬉しいような。
でも外に出した事は間違ってなかった、ミラは一人で、大人達の周りの力を借りて好きな事を出来るようになっていた。
これで良かったんだ、俺達の様な前科持ちの奴らの傍に居るような子じゃない、あの子は陽の光の元でキラキラと輝ける子だ、俺達もいよいよ子離れをする時が来たようだ。
ハーパーは成長したミラを誇らしそうに見つめていた。
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