第206話毒
クラッ…
私はおじさんの怪我した血を触った途端に目が回って立ていられなくなってしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ…なんか…息が…」
呼吸が苦しくなってぺたりと地面に座り込むと
「これは…やはり毒か!?」
ジフさんの怪我のを見てファイさん達が心配そうに自分を見つめる姿がうっすらと見えた…
「だいじょうぶ…少し…休めば…」
息を吸っても吸っても苦しい…みんなの顔が少しずつ歪んでいく。
「申し訳ないです…私は毒に適正があるからわからなかった…」
ジフさんの済まなそうな声が聞こえる…
「いえ…わたしがふよういに…さわったから…」
だからジフさんのせいじゃないです。
そう言いたいのに声が出なくなってきた…
「ミラ!」
あっハーパーが心配してくれてる…お腹になんか乗った…ノアちゃんかな?
なんかもう…考えるのも…疲れてきた…
私はなんだか無性に眠くなり目を瞑ってしまった……
「「「ミラ」」」
「ミラさん!」
苦しそうに息を吐いていたと思ったら突然ミラが目を瞑ってしまった。
慌てたハーパー達が声をかけるが反応がない。
ミラの呼吸がどんどん弱々しくなっていく。
「おい!攻撃をしてきた奴らが解毒剤を持っているはずだ!何処だ!」
ハーパーはジフに聞くと
「すまん…完全にのしてしまった。あと数時間は目を覚まさないと思う」
「クソ…ノア、なんとかなるか?」
ハーパーはミラを心配そうに見つめるノアに聞くと…
「ピー!!」
ノアは甲高く鳴くと自分の左の羽根を#毟った__むしった__#。
そしてそれを何度も繰り返すとふわふわの束にする。
そしてハーパーを見つめた。
「これをどうする?」
「ピー!」
「わかった!」
ハーパーはミラにあげたオイルを取り出すとその小瓶にノアの羽根を入れた。
羽根はみるみるとオイルに溶け込んでいき緑色の液体が琥珀色へと変わった。
「なんだ…それは?」
「ノアがこれを飲ませろと…」
ハーパーは急いでミラの口にオイルを流した…ミラの小さな口に少し含ませると…
「ミラ!飲むんだ!」
「ミラ、飲みほせ!」
「ミラさん頑張って!」
みんなで声をかけると…
こく…
ミラの喉が微かに動いた。
すると…
「ん……」
ミラが少し動いたと思うとフーっと深く息を吐いた。
「よっ……かった…」
ハーパーは息をしだしたミラを見て力が抜けて座り込んだ。
「顔色が戻ってる…大丈夫そうだな」
ファイはミラの赤みの戻った頬を撫でるとほんのりと温かかった。
「すごい薬ですね…一瞬で毒が無くなるとは」
ジフがノアの作った薬の効果に驚いていると
「王子、シン国が求めているのはコレではないですか?」
その凄まじい効果にロードは恐ろしそうに小瓶を見つめた。
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