第178話わさび

「で、では私も…」


今度はサミュエルさんが上品にお刺身をわさび醤油に少しつけて食べてみた。


「んっ…これがわさびですか、前に魚を食べた時に感じた臭みなど全く無いように感じます」


「それは魚の鮮度がいいのとわさびの効果かも…でも私にはわさび無理みたい…」


前は食べれたのにと残念に思い肩を落とした。


「まぁいいや、わさび無しでお刺身食べよー」


わさび醤油を退かて普通の醤油だけでお刺身を食べると…


「んー!おいしい!これなんだろ!?ブリ?ハマチ?ちょっと魚の種類はわかんないけど美味しいのだけはわかる!」


「おい!ミラ今度はこっちの魚も食べてみようぜ!」


パッドさんがさばいた違う魚を持ってきた。


「え?もうさばけるようになったの?」


「ああ!コツを掴めばどうにかなったな!少し身が骨に残っちまったがこれは慣れるしか無いな」


サミュエルさんのように一口に切って持ってきてくれた。


「さすがパッドさんだね!この魚は…サーモンかな?綺麗なオレンジ色!」


これも醤油につけて食べてみると…


「おいしい!油が多くてとろける~」


ほっぺを押さえるとファイ王子が横から手を伸ばした。


「どれどれ、俺も醤油だけで…」


わさび無しの醤油につけて食べると目をつぶって何かを考えている。


あれ?あんまり合わなかったかな?それにしてもやっぱりお刺身とくればお米が欲しい!


再び用意された食材を見るが頼んでいた米は無かった。


「ロードさん、お米はやっぱり駄目だったんですか?」


お刺身に夢中なロードさんに聞くと


「ん?ああ、こちらです。言われた通りに脱穀と言うのをして、白い実を取り出しておきましたよ」


そういうと別室にある米を見せてくれた。


そこには白い小さい粒の宝石が山のように高く積まれている。


「ふぉぉ~!こ、米だー!」


恐る恐る触ってみるが確かに米!少し小さめな粒のような気もするが、確かにあの米だ!


私は米をコップで測りながら鍋に入れた。


「それをどうする?」


「これを洗って水で炊くよ!そんでもって酢飯を作るの!?」


「すめし…」


サミュエルさんが聞いたことが無いと首を傾げた。


「お刺身によく合うんです!お米の炊き方は…まぁ適当にとりあえずやってみるか…失敗したらやだから少なめにしておこう」


私はお米をコップ一杯分だけ洗って小さめの鍋に入れて火をかけた。


お米って…どうやって炊くんだろ…炊飯器があれば一発なのになぁ~


どうにかうろ覚えの知識で炊いてみるとそこが焦げてしまったがどうにか上部分はうまく炊けた!


その部分を取って酢と砂糖と塩を混ぜた甘酢をかけてよく混ぜる。


冷ましながら切るように混ぜると少しだけ味見してみる。


「ん…」


その味に思わず口を押さえた。

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