第92話おじさん
パッドとミネルバさんはミラの元に向かうと…そこにはソファでウトウトと眠るミラがいた。
「あら…」
ミネルバさんは微笑ましい光景に微笑むと
「ミラお嬢様はお疲れみたいですからあなたの用事は後にしてくださいな」
ミネルバさんがミラを抱き上げようとすると…
ゴキッ…
腰から変な音が響いた…
「あっ…」
ミネルバさんが固まっていると…
「お、おい?大丈夫か?」
パッドが心配そうにミネルバさんをみる。
「なんか変な音がしたけど…」
ミネルバさんの肩に手を置こうとすると…
「触らないで!」
ミネルバさんが叫んだ!
ビクッ!
突然の大声にミラの目が覚めると、目の前でミネルバさんが顔を顰めている。
見ると脂汗が大量に出ていた。
「ミネルバさん?」
ミラが声をかけると…
「も、申し訳ございません…起こしてしまって…」
「それは大丈夫です…それよりもミネルバさんは大丈夫?」
腰を曲げたまま微動だにしないミネルバさんに
「こりゃ腰をやったな」
男の人の声がした、ミラはちらっと覗き込むと…
「よ、よお…」
ミネルバさんのすぐ後ろに先程声をかけてきたおじさんがいた。
「ミネルバはお嬢ちゃんを持ち上げようとして腰をやっちまったんだ、ちょっと人を呼んで来るから待っててくれ」
そういうとおじさんが廊下を駆け出した。
「ミネルバさん、ごめんね。私が寝ちゃったから…」
ミラが謝ると
「いえいえ、違いますよ…私が…変な抱きかかえ方をしたせいです…あとは年の…」
ミネルバさんが痛みに顔を顰めると…
「大丈夫ですか…」
ミラは持っていたメアリーのハンカチでミネルバさんの汗を拭った。
「い、いけません。そのような大切な物を使っては!」
ミネルバさんが注意すると
「別にミネルバさんの汗を拭ったからって思い出は消えませんよ。それよりも目の前の苦しんでいる人をそのままにしておく方が嫌です」
ミラはそういうと構わずにそのハンカチでミネルバさんの汗を拭き続けた。
しばらくすると数人の足音と共に先程のおじさんが戻ってきた。
「ミネルバさん!大丈夫ですか!」
「す、すみません…動けそうにありません…ミラお嬢様を部屋に…」
ミネルバさんがミラを見ると
「わかりましたからミネルバさんは自分の体を心配してください!」
数人の男の従者達が板と布を持ってくるとミネルバさんをそっと寝かせて運び出す。
「パッドさん!ミラお嬢様をお願い出来ますか?」
ミネルバさんを運ぶメイドが声をかけると
「わ、わかった!ミネルバをよろしくな!」
パッドは頷くとメイドと従者達は急いでミネルバさんを運びだした。
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