第82話ジョン

「ミラちゃん大丈夫?書簡部怖かっただろ?」


ロイズが心配そうにミラを見ると


「大丈夫です…忙しい時に行った私が悪いから…」


ミラが笑うと


「次はどうする?もう帰るかい?」


なんだか元気が無くなるミラを心配してもう戻ろうかと提案するが


「最後に…もう1箇所だけ…」


最後と聞いてロイズは仕方なく頷いた。


ミラの最後に見たいと言った場所は採掘場だった…


「ミラちゃん…本当にここ?」


ロイズが顔を曇らせる。


「はい…どうしてもここに行きたいです」


今までにない強い意志で頷くと…


「わかったよ…でも危ないからヘルメットは被ってくれ」


ミラには少し大きいヘルメットをしっかりと被せた。


ミラは初めて採掘場へと入った…ここは危ないからと一度も足を踏み入れた事がなかった…興味深そうにキョロキョロと中を確認すると…


「なんで…ここに…」


ミラを見つけた囚人がシャベルを落とした…


それを見ていた他の囚人が急いで声をかける。


「おい、ジョンを呼んでこい!ミラちゃんがここに来てる…」


「嘘だろ…」


話を聞いた囚人がそっと確認すると…確かにそこにはミラちゃんがいた…


「多分…ジョンに会いに来たんだ…」


「でも…ジョンはもう会わないって…」


「馬鹿!あのミラちゃんだぞ!ジョンに会うまで奥まで探すかもしれん!そうなったら危険すぎる…こんな所で生き埋めにでもなったら俺たち悔やみきれないぞ…」


「そうだな…わかったジョンに聞いてくる…あいつきっとあの場所から動いてないだろうからな…」


そう言うと囚人はミラ達に気づかれないように奥へと小走りで移動した。



ミラはジョンを探そうと奥に進もうとすると…


「ミラちゃん!そっちは駄目だよ、危険すぎる」


ロイズから行っては行けないと注意される…


「でも…」


ミラは名残惜しそうに洞窟の奥を見つめると…


「どうしても行きたいです…そこでもし何かあっても誰のせいでもありません。私の責任ですから…」


ミラはそう言うとロイズが止めるのを振り切って奥に行こうとすると…


「おい!」


反対の洞窟からそれを止める声が響いた…


はぁはぁと急いで走ってきたのか息が乱れている。


顔を下にして息を整えると顔をあげた…


そこには会いたかった人が怒った顔で立っていた。


「ジョンさん…」


「ミラ…」


二人のつぶやく声は騒がしい採掘場では他の人には聞こえなかった。

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