第44話ミラの手作り料理
ビオスさんからのお墨付きももらってミラは料理を並べて何時でもみんなが帰ってきてもいいように準備する。
「フゥ…こんなもんかな?ハーパーもノアちゃんもありがとう、ほとんど手伝って貰っちゃった…」
ミラは二人にペコッと頭を下げてお礼を言うと
「べ、別に自分が好きでやったからな…気にするなよ」
ハーパーは気を使わせまいとミラの頭をそっと撫でる。
ミラはハーパーに優しく撫でられた頭を触る…なんだか妙にむず痒くて温かい…
「お兄ちゃんぽいね…」
「はっ?」
ミラの言葉に言い返そうかとハーパーが顔を向けるが、ミラの嬉しそうな顔に言葉を飲み込んだ。
「何時でも助けてやるから、何かあったらすぐに言うんだよ」
「うん!」
ミラの素直な返事にひねくれたハーパーの気持ちもスっと穏やかになるのを感じた。
ミラ達が待っていると仕事を終えた囚人達が急ぎ足で戻ってきた…
「今日はやけに早くないか?」
ハーパーが時間を確認するといつもより大分早い時間に皆食堂に来たようだ。
「俺が1番だ!」
「待て!俺が先なんだよ!」
囚人達は競うようにミラ達の元に駆けつけると…厨房の前が人集りとなってしまう。
「お前ら!いつもの様にちゃんと並べよ!」
ハーパーが怒鳴るが譲る気が無いのか皆我先にと手を伸ばす…
あまりの迫力にミラは少し怖くなって後ろに下がると…
「なんの騒ぎだ!」
あまりの騒ぎに看守が食堂に顔を出した!
「ヤバッ!ノア、ミラと隠れてろ!」
ハーパーはノアにミラを頼むと怯えるミラを誘導してノアが奥へと連れていく…食料庫の箱の隙間にミラとノアは息を潜めて隠れた。
「なんだ!?お前ら騒ぐなら今日の飯は取り上げるぞ!」
看守達は武器を手に食堂の中を練り歩くと…
「すみません、こいつらいつもより飯が豪華だから調子に乗って…ほらいつもの様に並べ…いいのか?この飯が食えなくなっても…」
ハーパーが囚人達に声をかける。
「す、すみません…すぐに並び直します」
「お騒がせして申し訳ないです」
囚人達はさっきまでの騒ぎが嘘のように大人しくなるとピシッと一列に並び直す。
「や、やれば出来るじゃねぇか…いつもそうしてろよ」
看守が気持ち悪いほど素直な囚人達に少し引いていると…ハーパーの側へと来た。
「全く…こんな不味そうな飯によくそんなに興奮出来るよな…」
看守が用意されている飯を覗き込むと…そこには見慣れない食事が用意されていた。
不格好な形の茶色い物体に…大きさもバラバラな野菜が入った酸味の匂いがする白い塊…
「それ、なんて料理だ?」
看守は少し興味が湧いて手を伸ばした…
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