第24話ミラ(覚醒)

ーうーん…ここは…


ミラは目を覚ますと見慣れた天井にほっとする…


ああ、メイソンさんの部屋だ…いや牢屋と言うべきかな…


クスッと笑うと…


ーえっ!


ガバッと起き上がる!するとクラっと頭が痛み出した…


ーあっ…たまが…


頭を押さえてうずくまると


「ミラ!」


音に気がついてメイソンさんが駆け寄って来た!


メイソンさん…あれなんか痩せた…いやそれよりも私だれ?


頭の中で二つの記憶がごっちゃになり襲いかかってくると


ーうっ…


あまりの気持ち悪さに吐き気を催す。


我慢できずにベッドに吐いてしまうが出るのは黄色い液体だけ…気持ち悪さがさらに口に広がった。


「ミラ、水を…」


メイソンさんは自分が汚れるのにも構わずに私を抱えると口に水を流し込む、私はそれをゆっくりと飲み込むと


「……」


ありがとう…と言いたいが声が出ない…パクパクと口を動かすと


「大丈夫だ、ゆっくりでいい…」


メイソンさんの優しい声に私は再び意識を失った…


私は夢の中で黒髪の女の子だった…顔は見えないが親らしき人達が私にしがみつき泣いている…


ベッドに横たわる私の細い腕にはチューブが付いていて、見るからに具合が悪そうだった。


ーあれは私かな?


天井から見下ろして他人事の様にそれを見ていた。


ーそうだ確か体が弱くてずっとあそこで寝ていた気がする。体を動かす事がほとんど出来ずにテレビや本を読む毎日…おかげで変な知識だけ身についたっけ


つい思い出し笑いをすると…


ーあれ?そう言えば私の名前…なんだっけ?


思い出せずにうーんと考えていると…


『ミラ!』


名前を呼ばれる。


ーそうだ!私はミラだ、ジョンさんやローガンさん、メイソンさんにハーパー達と楽しく暮らしてる!囚人のみんなの顔が浮かび上がった。


ミラはハッと気が付き目を見開いた!


「ミラ!」


「ミラ!」



汗びっしょりで気がつくと目の前にはメイソンさんとローガンさんが心配そうな顔で覗き込み様子を伺っていた。


「ミラ、わかりますか?」


ローガンさんが声をかける…相変わらず私にだけ優しい声だ…


「ミラ、大丈夫か?」


メイソンさんまで心配そうだ、これは珍しい!


クスッと笑うとパクパクと口を動かす。


やはり声が出ない…


起き上がろうとしたが力が入らずに動けずにいた…


ミラは二人を見ると、二人の優しい温もりを確かに感じる…


ーさっき見たあれは前世の記憶ってやつだよね…


でも前の自分の名前もどう死んだのかもよく覚えていない…しかし確かに前に暮らしていた記憶だけが頭に蘇った。


ーこれからどうしよう…


ミラはため息をつくと疲れたとまた眠りについた…

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