第2話

         前書き

二話は一話から時間が五年も経過しており、急過ぎるかなと思ったので、その五年の間に莇がどう過ごしたかをざっくりと書きます。読まなくても問題はないので、急な展開が気にならない方は読み飛ばしてください。


 填道の仇をとろうと決めた莇は、それから修行に励む。そんなある日男に出会い、その男に剣を習うことになった。

 そうして四年が経ち、莇は海冥を見つけ出すための旅に出た。


 たった五行ですが、本編の方でこれからもう少し詳しく説明していきます。(主に莇の修行をつけた男について)

 それでは本編をどうぞ


          五年後


         人相書き

 一月ほど前から、和泉郷の靫葛ゆぎつづらの村で殺人事件が多発している。犯人は細身で背丈が高く、目に傷がある。

 目撃した者は和泉郷の郷長に報告すること。また、捕縛した者には賞金を与える。



 昨夜この村に着いて、いつものように村人に話を聞いて回っていると、人相書きの掲示板を見つけた。


 その中の一つに、あざみは釘付けになった。


 説明文の下に犯人の人相が書かれており、それを見た瞬間、あの時のあいつの顔とこの人相が合致した。


 間違いない、海冥かいめいだ。


 やっと見つけた。


填道てんと、五年も経ってしまったけど、やっと見つけ出せたよ。やっと、殺せるよ。必ず、仇を討つから」


 俺はそのあとすぐに靫葛ゆぎつづらの村の場所を確認して、村を後にした。


 あいつの居場所が分かったと思うと、今すぐに殺したくていてもたってもいられなかった。


 ここから四里ほど離れているので、おそらく到着するのは、日暮れになるだろう。


 靫葛ゆきつづらはとても小さな村だと聞いており、目印としては、水車が多くあるそうだ。なので、まだ一刻ほどしか歩いていないはずなのに数多くの水車がある村を見た時は驚いた。なにせ、まだ全く日が落ちていないのだ。


 少し早歩きになってしまったのだろうか。


 まあ、いい。早いことに越したことはない。


 いざ話を聞こうと村に足を踏み入れた瞬間、俺は少し様子がおかしいことに気がついた。


 人の気配がしない。


 通りにも誰一人人がおらず、家屋の中からも声が聞こえてきたりしない。


 どうしたのだろうかと思い立ち止まっていると、背後から足音が近づいてくるのを感じた。


 振り向き、その姿を確認して、絶句した。


 「………海冥かいめい


 「久しぶりだな、あざみ

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