「どうして、ヒロインがここに・・・」 ~乙女ゲーに転生した俺はゆっくり過ごしたい~
マシュマロ
第1話
「いっやっほー!!!」
俺は今、雑魚狩りを楽しんでいる。
ピロン、ピロンッ
頭上で俺のレベルアップを知らせる、効果音が鳴る。
ーーーーーーーーーーーー
俺の今起きていることを、説明しよう。
ある日目覚めると、俺は妹がやっている乙女ゲームの世界にいた。
一体、どうしてこうなったのかは全く分からない。
ただ、世界の流れが、妹のやっていた乙女げーにそっくりだったのだ。
今現在、俺は、とある村人だ。
税金を都に収め、その帰り道だったのだが・・・
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「ふぅ・・・」
俺は狩りを終えて、休憩している。
普通の村人は、狩りなんてすることはできない。
だが、俺は違う。
この世界の攻略の仕方を知っている。
どこにどんなものがあって、これからどういう展開になるかを。
おかげで、レベルアップ通知機能や、チート武器を所持している。
これから、俺はどうするのかって?
やろうと思えば、いろいろできるだろう。
だが、俺はのんびりまったり暮らしたい。
前世(?)はいろいろ忙しかったから、今は休みたい気分だ。
休みたいなら、どうして狩りをしているのかって?
いい質問だな。
この世界は、少なからず弱肉強食の部分がある。
来るべき時に備えて、自分の戦闘力を最低限上げる必要があるのだ。
まぁ、もっと細かいことは違うときに話そう。
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「ただいま」
狩りを終えた俺は、自宅に戻って来た。
「おかえりなさい」
母親が、俺を出迎えてくれた。
「帰りが遅いって、あなたのことを心配してたわ」
「アイツは心配性なんだよ」
母親は、とある人物が俺のことを心配してたと言った。
とある人物とはね・・・
「あっ!!帰ってきたのね!!」
玄関を開けっぱなしにしてたので、その女の子は、俺を見つけた。
「今帰って来たばかりなんだよ」
「本当に??」
「ああ」
疑ってくる彼女に、俺は言葉を返す。
そう、彼女は・・・
このゲームのヒロイン、エリーだ。
俺は、ヒロインの出身と同じ村で育っていたのだ。
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数日後
「では判定します・・・」
僧侶は、俺に水晶を触らせる。
(ついに・・・)
この日が始まることを、俺は待っていた。
やっと、ゲームの始まりの部分に来たのだ。
この世界では、一定の年齢に達すると、神様のお告げをもらう。
そのお告げの内容とは、ジョブ適正である。
人は生まれ持って、何かの才能を持っているかもしれない。
それをこのお告げによって、開花させることができるのだ。
このイベントはヒロインにとって、大変重要なイベントになる。
まぁ、ただのモブの俺は・・・
「適正は・・・」
周りの人たちは、息を飲む。
可能性は少ないが、皆期待する。
(俺はもう、結果を知っているんだけどね・・・)
既にこのゲームを攻略している俺は、だいだい分かる。
そんなことを知らない皆は、僧侶の顔を見る。
そして、彼は言う。
「適正は・・・無しです。残念ながら・・・」
「そうですか・・・」
僧侶にそう告げられて、俺の母親は、残念そうな顔をする。
何か適正があれば、都で稼ぐことが可能だ。
そうすれば、豊かな生活を手に入れることができる。
子供の幸せを願う母親にとって、息子に何か適正があって欲しかったのだろう。
「母さん、ごめんね」
悲しむ顔をする母に、なんとなく俺は謝る。
「いや、お前は何も悪くないさ。」ギュッ
母さんは俺を抱きしめてくれる。
(くそっ・・・)
母さんは俺に甘い。
(これではマザコンになってしまうではないか・・・
いや、なりかけているような・・・)
俺はこれではマズイと思い、母さんから離れる。
「あっ!?」
「ほら、次はエリーの番だよ」
俺が離れて悲しそうな顔をする母さんに、説明する。
エリーは水晶の前に、足を運んでいた。
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