ごっこ・いただきます・全員集合

「えっ。まじかよ。そんなに強いんだったらもっと早く解放できたんじゃないのかよ」


 永遠とわさんが文句を言うのも無理はない。出てきた警備ロボットをいただきますと一言だけ言って簡単に噛み砕いてしまったドラゴンを目の当たりにしたらそう口にもしたくなる。これからあれの相手をしなくてはならない夏希なつきさんと喜美子きみこさんの様子を見ると小刻みに震えているのが分かった。


「大丈夫ですか?」


 氷姫ひめはよほど心配そうな顔をしていたのか、ゆっくりと落ち着きを取り戻した夏希さんが優しく微笑んでくれる。


「大丈夫。なんとかしなきゃならないのはみんないっしょだしね。できれば早めに助けに来てほしいけどね」


 こくりと氷姫は頷く。たすくさんであるにせよ。ないにせよ。やれることはやろう。そう覚悟を決める。


「おっ。全員集合なのかよ。懲りないね」


 侍がいち早くこちらに気づいて声をかけてくる。


「やっぱりここから出すわけにはいかないんでね。邪魔させてもらうよ」


 そう言って誰よりも先に前に出るのは永遠さんだ。


「正義ごっこは辞めておいたほうが良いと思うよ。自分のためにも世界のためにも」


 諭しているように聞こえる侍の声はどこか優しさを感じる。


「我は楽しめればそれでいいいがな」


 ドラゴンは警備ロボットを噛み砕きながらおそらくだけれど嬉しそうにしている。


「やられた仲間の敵は取らせてもらうぜ」


 組長も気合が入っている。


「さっさとやっちゃえばいいんだろう」


 弾丸は話す気もなく銃をこちらに向けると発泡した。


 それが開戦の合図だった。

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