Episode4 京子【05九州編・後悔】
157 西へ行く提案
先日流れた
語られた事実にメディアの反応は様々のようだが、京子たちの所まで影響が及ぶことはなく、比較的穏やかな日々を過ごしている。
ホルスとの関係も特に進展はないままだ。
それは6月も後半に差し掛かった梅雨ど真ん中の水曜日だった。
修司と三人で基礎鍛錬を終えた所で事務所に呼ばれ、京子は綾斗とデスクルームへ戻る。
窓の外は土砂降りの雨だ。
佳祐とはやよいの通夜以来だ。
「お久しぶりです、佳祐さん。どうしました?」
『どうかしなきゃ電話して悪いのかよ』
「そんなことないですよ。佳祐さんは元気そうで良かった。心配してたんですよ?」
『カッコ
気遣うような優しい声だ。彼が犯人だなどと、悪い冗談にしか思えない。
久志が憶測であんなことを言うとは思えないが、未だにそれが事実として確認されていない所を見ると、
横で会話をじっと伺う綾斗に、京子は「大丈夫」と小声で
『それでだ、京子に相談があってな』
「私に? 相談ですか?」
やはり用事もなく連絡してきた訳ではないらしい。
相談というワードに綾斗は眉を
『誰かいんのか?』
「綾斗が……」
『別に構わねぇよ。修司の事なんだが、アイツ今本部に居るんだろ? 本人が嫌じゃねぇならウチで預かるのはどうだと思ってな』
「預かるって、九州支部にって事ですか?」
『あぁそうだ。アイツは強いって噂じゃねぇか。教えてやることは山ほどあるだろ?』
唐突な提案に戸惑って、綾斗と顔を見合わせる。京子が一人で決められる話ではない。
「こっちとしては有難い話ですけど、久志さんはその事知ってるんですか?」
バスクがキーダーになった場合、北陸支部に併設された施設で1年間の訓練を受けなければならない。訓練室長はマサだが、実際に訓練をするのはキーダーの仕事だ。
修司の北陸行きはやよいの件で保留になっていたが、久志がいまだに動けないのであればそれもアリかと思ってしまう。
『一応な。嫌がられてるみてぇだけど、マサには了解取ってある。すぐに来てくれても構わねぇけどよ、いっぺんこっちに見学に来てみないか? うまいものたんまり食わせてやるぜ』
「そういう事なら、本人に聞いてみますね」
『おぅ。良い返事待ってるぜ』
平和な空気のまま通話を切ったものの、その
修司を佳祐に預けても良いのだろうか──久志との事があるせいで、少なからず警戒してしまう。けれど、その誤解を解くためにも彼に会いたいと思った。
「私、修司と一緒に行ってこようかな」
「京子さん……」
綾斗は低く
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