71 アンコール
京子は柱の時計を確認して「来なかったね」と立ち上がり、モニターを見やる。
屋上の戦闘は落ち着いたかに思えたが、
場内の興奮が
京子が改めて「修司」と振り返る。
「安藤
やはりその質問なのかと思いながら、修司は「居られます」と答えた。
「よろしい。じゃあ、あの女を捕まえに行こうか」
天井を指差して、京子が先に動いた。いつもハイヒールの彼女が、今日はスニーカーを
律はいつもそうだったが、やはり戦うには動きやすさ重視なのだろう。
「別支部のキーダーも来てるって聞いたんですけど、全部でどれくらいいるんですか?」
「応援は一人だよ。うちは桃也と修司が来てくれたから全員ね。
「応援は一人なんですか?」
応援が九州の人だとは聞いていた。平野が居ないのも知っていたが、その
そんな修司に京子は強気な姿勢で、ポジティブな言葉を投げた。
「キーダーは弱くなんてないよ。向こうの戦力に
そして京子は階段を上りながら、「
「彰人さん……」
「彼のことも聞いた? 色々あったけど、今はすごく頼れる人だよ」
「分かってます」と修司は答える。『仕事だからね』とはにかんだ彼の顔が忘れられない。
「いい? 無理だと思ったら逃げることも強さ。生き残ることが一番の強さなんだってことを頭に入れておいて」
最後にそう言って、京子は修司より二歩先に四階へと足を踏み入れた。
☆
コンサート会場である吹き抜けのホールは四階まで届いていたが、中へと
映し出される場内は、繰り返されるアンコールに、満を持しての登場を期待する頃合いだ。
京子が「あっちで待ち合わせてるから」とホールを取り囲む細い廊下を指差した。奥を示す案内板には『貸会議室』と書かれている。
そしてモニターには、いよいよジャスティの少女たちが姿を現した。
警戒して動きを止めるが、彼女との急な
律だ。
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