第6話 地下流通網(自動運転は実現しない)

自動運転は実現しない。


いきなり過ぎる感があるが、これが場末の予言屋によるナンチャッテ予言モドキである。

世界中の大手自動車会社が、血眼になって開発を進める自動運転、たぶんこれは実現しない。


では何故、自動運転は実現しないと予言するのか。


その理由は至って単純だ、「事故を起こした時の責任問題」が解決されないからだ。

もっとも、技術的にはほぼ自動運転は可能になるだろうが、運転に対する責任問題、これが解決するのはかなり難しいと考える。


自動車会社、自動運転プログラムの製作会社、警察、加害者、被害者、これに保険会社が加わり、「壮絶な責任問題のなすり付け大会」が催される事間違いない。


これに、当たり屋や自殺志願者が加わると近い将来、「ひき逃げモード」と言う裏プログラムが、自動運転に仕込まれる事も考えられる。


では将来の流通、極少ない人員で円滑な物流を実現する為に、一体どうすればいいのか、その答えを設計の予言者による未来記で見てみよう。


設計の予言者が示す未来記によれば、2048年頃には自家用車以外を町で見かける事はないようだ。


では、もっとも肝心である生活インフラ、それを支える物流はどうなるのか、これについては「電車などは全て地下を走っている」と書かれている。


どうやら日本は近い将来、巨大な地下流通網を作り、そこに公共の移動手段や、大型トラックなどを使った物流を移すようだ。


ここで自動運転が登場する。


一般市街地を走る車、これを完全自動化する事は、事故の責任問題や、人や動物などの不規則な動き、突発的に起きる事柄への対応など、様々な問題があり、たぶん無理だと考える。


しかし、地下に巨大流通網ができ、厳しいルールと管制システムの上で利用される事になれば、巨大流通網に対しては自動運転が可能になる。


設計の予言者の未来図から見えてくる将来の物流、それが巨大地下流通網である。


少子高齢化が急速に進む日本で、人の生命を支えるエッセンシャル・ワーク、その代表の一つが物流である。


物流の抜本的な見直しと構築が、日本の将来、人々の命を握っていると言っても過言では無い。


ただし、設計の予言者が予見する日本の巨大地下流通網、物流を無人化し効率化するだけに止まらない。


現在の日本で問題視されているインフラの老朽化にも、一つの指針を見いだす事が出来る。


2020年の現代、喫緊の課題となっているのが水道管の老朽化。

炊事洗濯、風呂にトイレ、まさに生活の生命線と言える水道、老朽化問題は見過ごすことなど出来ない。


問題となる水道管、施設されたのが高度成長経済の1960年~1970年、それに対し交換目安は40年とされている。


既に交換目安を大幅に過ぎた日本の水道網、2019年には年間で水道管破裂を含む漏水が2万件を越えているそうだ。

この水道管問題を抜本的に解決するのに、巨大地下流通網は一考の価値はある。


また、町や都市の上を縦横に走る無粋な送電線、これも何とかしたい。

台風の大型化、強力化がますます進む中、高圧電流を流す鉄塔の倒壊まで起きているが、これも地下に潜らせるべきだろう。


その他ではガスや光回線、ゴミ回収の集中管理など諸般の雑事を、いっその事まとめて巨大地下流通網にぶちこんでしまったら、町も都市も、人の日常生活まで、随分とスッキリする事間違い無し。


まあ、言うは易し行うは難しなのは変わらないが、日本から先進的な文化を発信するとなれば、この位思い切った事もするべきだろう。


なお、車の自動運転について書き忘れたので追記しておくが、「21世紀」に書かれている自動車、乗客が片手でちょっと棒を握っただけで快適に車を走らせる事はできるようにはなるが、やはり運転手は必要なようだ。


どうしても市街地を走るには、運転責任問題がなくなる事はないと言う示唆だろう。

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