第14話:Spring Wind
うららかな西日のさす昼下がり、聴いた事のないメロディーとぼんやりとした歌詞の曲が聞こえた。
「う…。ん?いい曲だ。…千夏?」
それは千夏のピアノと口ずさむ歌詞だった。
「あ、起こした?この歌詞良いね。いつ書いたの?」と千夏。
「おはよ。ん?…この歌詞は…。」
「ん?」
「確か…このバンドを作る前、実家からこっちに来る前に書いた詞だ。」
「タイトルは…Spring Wind?いいね。」と千夏。
「良いメロディーだったよ。もう一回聴かせてくれないか?」
「いいわよ。」
それは新緑の息吹がメロディーに吹き込まれたかのようなメロディーだった。
「すごい!この曲は良い!この曲主体にしてバンド活動やろう!」と俺は言っていた。
その曲だけは自分で歌いたく、千夏には悪いけど俺がボーカルをした。
その曲の初披露の発表ライブ。
それは久しぶりの鳥肌物だった。
割れんばかりの拍手。
大成功だった。
「いやー、久しぶりの高揚感だね♪」と俺。
「いやーまったくだー。」などとライブの感想を言っていた。
『コンコン』と突然戸をノックする音。
「うん?誰だろ。」と開けようとする俺。
『いやー!すっげー良かった!』といきなり誰か入ってきた。
「だれ?」と俺。
「あれ?進(すすむ)君じゃない。どうしたの?」と先生。
「あ、先生の知り合いか。」と納得する俺。
そしてその進はこう言った。
「俺にリードギターやらせてほしい!」と。
俺は先生を見た。
先生は何も喋らずうなづいた。
俺は言った。
「一度君のライブを見せてほしい。バンドやってるんだろ?実力を見せてほしい。」とみんなを見る。
何も言わずうなづくみんな。
「ああ、いいぜ!明後日、この会場でやるから絶対来てよ。」とそいつ。
そしてチケットを私に渡し、帰っていった。
レベルは先生が言うくらいだからうまいに決まってる。
でもどんな曲をやるのか見てみたかった。
進のライブの日、みんなで来ていた。
どうやらビジュアル系のロックだった。
最初はあまりのメイクに『進どこ?』とか皆で言ってた。
確かにギターのレベルは凄かった。
問題は他のメンバーのうまさと曲だ。
その日のうちに皆で集まり進のメンバー入りが決まった。
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