427.楽しい異世界
夜が更けていく。
食事をして、マリアとお喋りして、完全に真夜中となった。
灯りは消した。
真っ暗な部屋の中、小さな手を握ったまま、すーすーと可愛らしい寝息をたてるマリアの顔を眺める。
しかし、夜が明けるまで、ずっとこのままというわけにはいかない。
僕は名残惜しみながら、彼女から手を離していく。
そして、その離した手で、本を――と言っても、実際にある本ではなく、僕の空想の中にあるものだが――本を閉じる仕草を、何もない手元で行なった。
――いま、一つの『物語』を記し終えた。
この最後の頁に、もし続きがあるとすれば、それはもう本の外だろう。
つまり、『執筆』『読書』といった『
これでティアラと僕からの干渉は一切なくなり、マリアは自分だけの道を選び、自分だけの人生を歩んでいける。
「『マリア』……、頑張ったね……」
そう褒めつつ、僕も「頑張った」と自賛しておく。
戦いではなかったが、一つ言葉を間違えれば、どう話が転んでもおかしくなかった。
しかし、逃げることなく、彼女と向き合ったおかげで、乗り越えられた。
新たな本を一つ、得た。
いま、ここで話せてよかったと、心から思う。
僕は空想の本の表紙に『マリアの物語』というタイトルをつけて、抱き締めるように自分の胸の中に収める。
これは質量を持たないもの用の『持ち物』みたいなもので、ここならば《ディスタンスミュート》でもない限り、誰かに奪われることはないだろう。本棚と名付けていて、立派な背表紙の分厚い本がたくさん並んでいる。
虚空を感慨深く眺めながら、椅子の背もたれに体重を預けていく。
ここで自室に戻るのは薄情な気がするので、このまま椅子でマリアを見守りながら眠ろうと思う。
普通ならば、目が覚めたときに背中が痛くなるだろうが、僕ならば大丈夫だ。
「……はあ」
溜息をつき、静かな夜の音に耳を傾ける。
今度こそ、ゆっくり眠れそうだと、瞼を少しずつ落とそうとするのだが――視界の端っこで、ひょこひょこ動く物体を見つけてしまう。
それは暗闇の中を泳ぐ黒い染みのようで、すぐに影を利用した魔法の『隠密』であるとわかった。
そして、ここまで僕に悟らせなかったとなると、一人しか候補はいない。
苦笑いを浮かべて、その名を呼ぶ。
「リーパー?」
呼ばれた黒い染みは、その場で動かないことで誤魔化そうとした。
しかし、僕は決して視線を切らない。
彼女は観念して、ぬるりと、プールからあがる子供のような動きで部屋の影から這い出てくる。
現れたのは黒装束に黒髪褐色の少女。
なぜか、もぐもぐと口を動かしていた。
「やっぱり、リーパーか……。どうしたの?」
「ん? えーっと、お祝いかな?
「…………。その口の中のは?」
「ひっひっひ、ばれては仕方ない。台所にあったローウェンのお菓子の残骸は全て頂いたぞぉ」
嘘ではない。
確かに、隠れて料理を食べていたようだが――本命は別だろう。
「残り物を漁らなくても、ちゃんと同じものを作ってるよ。ほら」
あえて、そこには触れず、僕は『持ち物』から予備の皿を取り出した。
「え、あるの? お兄ちゃん、そういうことは先に言ってよね」
とりあえず、僕は無詠唱の《ワインド》で防音障壁を作った。
マリアを包むように展開したので、これで彼女は朝まで安眠できることだろう。
そして、椅子から立ち、手に持った料理を部屋の机に置く。
例のお菓子の
それを前にして、リーパーは目を輝かせる。
「お、おぉ……」
僕が求めていた反応をしてくれて、とても助かる。かなり嬉しい。リーパーは鼻息を荒くして、首を左右に揺らしながら、あらゆる角度から眺めては「かっこいいー」と言ってくれる。
「もしかして、リーパーも壊しにくい?」
「いや、全く全く。普通に食べるよ」
僕が聞くと、リーパーは用意したスプーンを取って、あっさりと「食らえー」と小さい声でローウェン人形を崩した。
そして、その残骸を口に含んでいくことにも躊躇しない。
「ローウェン、うまうま」
「みんなも、このくらい遠慮ないとよかったんだけどね」
「いや、普通はこんなことできないと思うよー。模したものとはいえ、人型を壊すってのは誰だって躊躇するよ。普通ならね」
「普通なら……。リーパーは普通じゃなさそうだけど?」
「そりゃ、アタシたちは『親友』だからね! 亡きローウェンとアタシは、常に心で繋がっているのだ! だから、平気平気!」
間違いなく、リーパーとローウェンは『繋がり』がある。
互いの為ならば命を捨てることすら厭わない。そんな信頼関係がなければ、この
思えば、心優しいディアたちに酷な食べ物を勧めてしまったと反省して、僕は彼女の食事を見守り続ける。
その気持ちのいい食べっぷりは、本当に嬉しいし、暖かい。
途中で、お茶を頂戴と言ってきたので、ついでに僕は別の料理も出そうとする。しかし、お菓子だけでいいと首を振られてしまった。
おそらく、ちょっと見ない間に、魔法の身体への理解が増して、食事は好きにしていいと気づいたのだろう。栄養バランスが偏った生活をしていそうだ。同じ魔法生命体であるシスが真似すると困るので、あとでそれとなく注意しておこう。
「っふー、美味しかったー」
ばくばくとお菓子を食べ終えたリーパーは、ぐいっとお茶を飲み乾して、一息つく。
ただ、それで席を立つことも、部屋から去ることもない。
いま、リーパーは僕の身体のことを誰よりもよく知っている。
だからこそ、僕に対して遠慮は一切なく――、これから、寝かせてくれるつもりはないようだ。
「お兄ちゃん、
「…………」
「これで、事実上の完成。全て紐付いたのが、アタシにも視えるよ。新しく書かれた『物語』の
そして、同じ次元魔法使いだからこそわかる核心に、触れた。
この話をする機会をリーパーは見計らっていたのだろう。
逃げることは許さないといった様子で、射抜くように僕を見る。
「確かに、いまさっきのマリアとのお話で、残ってた心配事は全部終わったかもね……。『無の理を盗むもの』が終わって、『火の理を盗むもの』も終わって、既に終わっている『血の理を盗むもの』を回収するだけ……。あとは予定通りに、『計画』が進んでいくだけだと思うよ。……ただ、こういうのって、負けフラグだからあんまり口にしたくないんだけど」
冗談めかしつつ、そこには余り触れて欲しくないと遠回しに言ってみた。
しかし、リーパーは真剣な表情のまま、先ほどのマリアとの会話について咎めていく。
「アタシとしては、少しやり方に不満があるかな? 正直、またアルティさんを仲間外れにしてるような気がする」
「それは違うよ。アルティは新しい仲間たちの輪の中に入れたんだ。『理を盗むもの』なんて辛い輪から抜けて、新しい輪に」
そう即答して、僕は後ろのベッドに目を向けた。
釣られて、リーパーも目を向ける。
安心し切った表情で眠るマリアを見て、渋々ながらも納得していく。
「そうだね……。この寝顔を見たら、こっちは何も言い返せないかな」
「身勝手と言われようとも、僕は『理を盗むもの』なんて理不尽なものは世界からなくすよ。そう決めたんだ」
「それはヘルミナさんやファフナーお兄ちゃんも?」
「『理を盗むもの』は
「みたいだね……。あの『血陸』で全て、回収される。あれから、たったの二ヶ月で……、ほぼ不可能と思っていた
どこか遠い目をして、その数字をリーパーは呟く。
そして、苦々しく笑って、僕を批判していく。
「――お兄ちゃん、早いよ」
その表情には、他の仲間たちと違って、明らかな不満が交じっていた。
たった一人、リーパーだけは
「こういうのってさ、普通は何年もかけるんじゃないの? クウネルお姉ちゃんなんて、普通なら十年説得しても仲間になってくれない人だったはずだよ? 今回の休日だって、そう。三日も時間はあったのに、もうマリアお姉ちゃんと話をつけちゃって……。みんなで温泉行ったあと、思い出を一杯作ってからでも、遅くなかった。絶対遅くなかったよ……」
リーパーは僕に「急いでる」と、とても困ることを言う。
軽くは答えられない。
剣呑な雰囲気になってきたからだ。
マリアのときと同じく、真剣に向き合う必要がある。
「リーパー、聞いて欲しい。なあなあじゃあ駄目なんだ。人生は本気で生き抜かないと、絶対に『後悔』する。……もう僕は、『後悔』だけはしたくない」
確かに、時間はあった。
しかし、先ほどのマリアとの話を最終日にするのは、ただの後回しだ。
そんな覚悟では、自らの人生に打ち克てないと、身を持って知っている。未来を切り拓くには、勝負から逃げることなく、運命に立ち向かう強い意志が必要なのだ。
「『後悔』したくないから、生き抜く……? お兄ちゃん、本当に似てきたね。あのティアラさんとヒタキさんにさ」
「それは……、色々と受け継いで、持ってるから。仕方ないよ」
あれだけ本音をぶつけ合って、影響を受けるなというのは難しい話だ。
どちらも本当に暴れん坊な女の子だったけれど、見習いたいところばかりだった。
だから、二人と似てきたのは仕方のないこと。
僕が学んで成長している証。
それで、僕は話を終わらせたい。
終わらせたい、のだけれど――
「『魔石』を持ってても、『親和』しないと影響しないって話だったよ。あの人から、
――ピリッと、
その異音によって、リーパーの声は潰れてしまい、上手く聞き取れなかった。
おそらく、その音はリーパーも聞こえている。
それでも、彼女は核心に触れ続けるのを止めない。
先ほど『ラスティアラ』の話をすると決意した僕と同じように、決して退かない顔つきをしていた。
相変わらず、僕から影響を受けやすい子だが――、不味いな。
「それよりも、リーパー。明日はどうする? もし一緒に温泉へ行くなら、早めに言っておいたほうがいいよ。予約の話だけでなくて、準備する物もあるだろうから」
「その身体の中の『魔石』たちは、早く『持ち物』に移した方がいいよ。失くすのが怖いのはわかるけど、『
話を逸らそうとして、失敗する。
その一方的な会話をぶつけ合う中、■という異音は大きくなり続ける。
ピリピリと破れるような音から、ギリギリと歯軋りするような音に。
その異音は、リーパーの言葉を塗り潰す。
そして、リーパーが完全に核心を語り出したときには、とうとう――
「いま、アルティお姉ちゃんの『魔石』をラグネお姉ちゃんの『魔石』に
潰され、歪み切り、全く聞き取れなくなった。
録音した声を逆再生するかのように甲高く、掠れて、けたたましい音に、リーパーの声は
リーパーは自分の喉から漏れる音が、言語になっていないと気づき、口を閉じて目を見開いた。
つまり、それは彼女の意思で歪んだものではなく、他者からの干渉ということに他ならない。
魔法による攻撃が行われていることが確定して、もはや隠し切れなくなる。
■■■と異音を出していたのは、リーパーではない。
異音が聞こえていたのは、僕――の中から。
「――
とても小さく弱々しい声が、マリアの部屋に響いた。
その声は本当に小さい。だが、尋常じゃないほどの怨念と歪んだ魔力を伴っている。
「いま複写って、言った……。それも、もう十個って、十って十って……」
呪詛が如く、その小さな声は重く、全身に圧し掛かっていく。
当然ながら、身の安全のためにリーパーは動く。一歩も動かない僕から、離れるように飛び退き、壁の端から睨みつけてくる。
――僕の腹部から這い出てきて、べたりと地面に落ちた「上半身だけの女性」を、目で射抜く。
その「上半身だけの女性」は涙目で、頬を紅潮させ、噛んだ唇から血を垂らして、悔しそうに、床を両手で叩いていた。
女性の少し硬そうな髪は茶色で、肩ほどまで。
顔つきは凛としているが、どこか快活さを保っている。
フーズヤーズ騎士の制服を身に纏っているので、かつての敵ラグネ・カイクヲラと見紛う姿だ。
だが、『表示』は正確に、その正体を記す。
【
記されたのは、全ての始まりの存在。
三人の使徒たちの主であり、この世界の主でもある女性。
元『次元の理を盗むもの』ノイ・エル・リーベルールを示していた。
「『
ノイの人柄は、一言で表すと臆病者。
それは、いまの顔からも、簡単に見て取れる。
重要なのは、怯え切った表情ではなく、その見慣れた顔つき。
いま彼女はラグネ・カイクヲラの顔を魔力で構築して、借りている。
もし姿を現すとしても、決して自分の顔は見せないのが、ノイという少女だ。
いざというときは、僕かラグネの魔石なら好きに使っていいと言っていたのだが、彼女は同性の姿を選んだようだ。
ただ、色々と気を遣ってか、もしラグネが20代後半まで成長していたらという可能性を『未来視』しての
ノイは安心安全の為ならば、手段も犠牲も選ばない。
その彼女が、
「『ノイ・エル・リーベルール』さん……」
リーパーは僕から視線を外し、彼女の名前を呼ぶ。
いや、最初から目で射抜いていたのは、ノイだったのだろう。
本当に話したかった相手は、僕でなくノイであるとわかり、一歩身を退く。
「いまはラグネの身体だから……、ちゃんとラグネさんって呼んでぇ……?」
「それは出来ないよ。だって、ラグネお姉ちゃんはラグネお姉ちゃんだけだからね。ノイさんもノイさんだけだよ」
剣呑となっている
もう完全に、張り詰めた空気は弾けてしまった。すぐに僕は、マリアだけは絶対に守ろうとベッドを背中にして、結界を防音以上のものに強化していく。
「聞いて、『
「『安心』? アタシは少しも『安心』なんてできなかったよ。だって、お兄ちゃんほど生きてるだけで不安な人っていないからね」
向かい合った二人は、先ほどのマリアのとき以上に、一つ言葉を間違えればどうなるかわからない会話をしていく。
特にノイは不安定で、ダンダンッと床を叩きながら抗議する。
「そ、そんなことない! そんなことないぞ! カナミ君は凄いんだぞ!! ボクのときだって、ディアちゃんたちみたいな子は一杯いた! けど、こんなに『幸せ』じゃなかった! 『幸せ』になんて、ボクは一人も出来なかった! あのときのボクと比べたら、カナミ君は偉いし、凄いんだ! いまボクがこうして、最後の休日を過ごせているのも、彼のおかげで……。本当に、この続きの日常は凄いんだから……、邪魔しないでよぉ……」
「けど、フェアじゃない。その『幸せ』な日常を、こっそりと隠れて、あなたは読むだけ。あなた自身が世界のどこにもいないっていうのは、少し卑怯だよ……」
「フェ、フェア……? フェアなんて、別にどうでもいいでしょ? だって、もうボクは終わってるんだ。ああっ、もう何もかも終わった存在なんだ。
――ボクの『第九十の試練』は終わった。
ボクの人生も、カナミ君に託し終わった! 未来に繋げたのは、セルドラとヘルミナだけじゃなくて、このボクもだ! つまり、それって迷宮に用意された『第十の試練』から『第百の試練』まで、全て綺麗に終わったということだよ!? 喩えじゃなくて、本当にカナミ君は完全なるゲームクリアをしていたんだ! なら、もういいじゃないか……。残った時間にちょっと楽しもうって思うくらい、別に構わないじゃないか……」
「ううん、違う。まだ完全には終わってない。――あのファフナーお兄ちゃんが、最後の
「――
リーパーの宥める母のような声に対して、世界の主は情けなく即答した。
立ち上がろうとしない。
そんなものは必要ないと言わんばかりに、未だ下半身は構築されていない。
上半身だけで、床の上で項垂れて、話し続ける。
「もうボクは疲れた……。今日まで、辛いことがたくさんあって、ずっと頑張ってきた。だからこそ、『試練』とか『未練』とか『決闘』とか『呪い』とか、そういうのはもういいんだ……。本当に、疲れた。卑怯だと言われようとも、負け犬と言われようとも、もう戦いなんてしたくない。誰とも争いたくない。競うのは嫌だ。この『幸せ』な
楽しいことは出来なくても、楽しい本を読む。
幸せにはなれなくても、幸せな本を読む。
――これこそ、ずっとボクが求めていたものって気づいたんだ」
リーパーはノイと話をつけると決心して、ここまで来たのだろう。
たとえ命を捨てることになろうとも、この『物語』の続きに言いたいことを言ってやるという覚悟を感じる。ただ、それに対するノイの答えは、どれも弱々しい。
「――
ノイは涙目で笑いながら、首を振る。
その焦点の合わない瞳は、ラスティアラを見ているときの僕とそっくりだ。
「だから、本を読む以外、この世界と関わる気はない。みんなと混ざって生活するなんて、『安心』できない。そんなボクに、こっそり読むのがフェアじゃないって言うのなら、もうボクは……、ボクは――!」
「――っ!」
俯いていたノイの顔が上がり、二人の視線が交錯する。
咄嗟にリーパーは身構えた。
自分が対峙しているのは、九十層の
戦いとなるのならば、その身の魔力を燃やし尽くす。
そうリーパーは覚悟して来ただろうが――
「ボクは、負けを認めるしかない……」
成立はしない。
ノイは悔しそうに唇を噛んで、リーパー相手に降参していく。
「あの『
「……ぇ、え?」
敗者となったからには、勝者のリーパーの言葉に絶対服従する。
その負け惜しみになっていない捨て台詞を叩き付けるノイに、リーパーは困惑する。
圧倒的上位のはずのノイの降参に、せっかくの覚悟を――なかったことにされる。
「いや、そうじゃなくて……、アタシはあなたに、みんなと一緒に日常を――」
「ああ。でも、良かった。これでもう『
もうノイは、リーパーを見ていない。
それが第三者から見ても、はっきりと伝わる。
瞳がリーパーを映していても、彼女の脳が相手を認識していない。
恐怖ゆえに、相手とのコミュニケーションを放棄して、自分の出した答えのみに向かって、ただ一人で喋り続ける。
謝り続ける。
恐れ続ける。
まるで幻覚を視ているかのように、虚空を見つめて――
それは、僕の『狭窄』と同じ。
方向性は違えども、同じ『次元の理を盗むもの』の『呪い』を持っていた。
だから、僕はノイの魔法の発動を邪魔せず、見守る。
その魔法は僕も使えるので『
「――ボクとリーパーさんは、こんな話をしなかった。こんな剣呑な空気も、なかった。ボクとリーパーさんが争う理由なんて、なかった。いまのボクたち二人の会話は全部、全部全部全部、なかった。知らない他人になれ。なかったことになってよ。『なかったことになれ』『なかったことになれ』『なかったことになれ』」
「ま、待って、まだ――」
「――次元魔法《ブラックシフト》」
周囲を置いて、ただ一人勝手に納得して、彼女の得意とする魔法の一つが発動する。
――それは、『世界』に働きかけて、
危険は一切ないと僕は判断しているが、リー■ーは青褪めて制止をかける。
だが、その言葉を■イは、聞こうにも聞ける状態ではない。
もし聞けたとしても、より次元魔法の効果が強まるだけだろう。
リー■■■ルという名の
だから、■ー■ーが手を伸ばしても、それは決して届かない。
■■■りに、闇と次元を混■た複合魔法で対■■■うとしたけれど、流石に魔■■■が違いすぎる。
抵抗は出■■る。
次■の魔法使いならば、この塗り潰し■■■を受けても、現■■■編を認識し続■■■とはできるだろう。だからこその『審■■』なのだが、これでは本■■■的は達■■■ない。
――■■■ーは■■に、■■■■■■かっただけ。
しかし、もう■■■叶■■■。
■■■ら先■、■■■
■■■が■■と■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■。
■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。■■■■■■■■■■■■■■。
■■■■■■■■■■■、■■■。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「■■■■■■■、■■■。■■■■■■■■■」
「■■■■■■■■!」
■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■――
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます