第22話 フェイク・シスター
その頃、間田コーポレーションでは。
蓮は、小夜と再会していた。
「小夜……」
遡ると10分前。
冷蔵庫から漁ったハムを雑に切って食っているキラーを横目にテスタは蓮にある事を提案した。
「そういえば、他の奴らを紹介して無かったな」
「まぁ、キラーみたいな変態じゃなきゃ良いが」
すると、キラーはハムを口にしたまま怒鳴った。
「ふぁれぶぁふぇんはいふぁぶぉげぇ!誰が変態だボケェ!」
「口に物入れたまんま喋るな!!」
すると、1人部屋に入ってきた。
「テスタ様、報告がまだお済ではありません。早急にお願いいたします」
「ああ、悪い」
入ってきたのは、小夜だった。
蓮はその唐突な再会に少し驚きを隠せなかった。
「小夜……」
「………なんですか」
小夜は冷たい口調で蓮に言った。
「冗談よしなよ、今まで何してたんだよ。お兄ちゃん心配してたんだからな。って言うかなんでここにいんだよ。バイトか?中学生の癖に」
蓮は聞いた。
小夜は少し考えて、蓮を見て答えた。
「そうでしたね、あなたは私を血の繋がった妹だと認知しており、そして私は疑似人格でそれになるようにしていましたね」
蓮は突然の言葉に唖然とした。
「……は?」
小夜は蓮を無視し、話を続ける。
「私は間田敏樹社長によって作られたアンドロイド、つまりは機械人形です。そして私はあなたの情報を社長に報告、かつ監視を任されていました。そして今は橘小夜という疑似人格での存在ではありません。私の名前はイヴ」
蓮はソファに倒れるように座り込み、小夜の姿を見た。
「……そうか」
蓮も少しは分かっていた。
小夜とは血が繋がっていないと言う事も、母親もそんな子を産んだことは無いと、でも小夜は居る。小夜はあたりは強いが、兄思いの良い子だと。
だが、そんなのはただのデータの1つでしか無かった。
小夜はイヴの、偽りの仮面だった。
「……なんか……期待してた俺が馬鹿だった………」
蓮の目からは、少しだけ、涙が出ていた。
小夜はそんな蓮の事は気にもせず、テスタにある事を聞いた。
「それよりもテスタ様、彼を社長の元へ渡さなければなりませんが」
テスタは答える。
「まだ待ってて欲しい、今の彼は少し精神が不安定だ、あいつの目的を果たすには少し難しい。だからもうしばらくここに居させてくれないか?」
小夜はそれを了承し、部屋を出ようとした。
その時、蓮が小夜を呼び止めた。
「イヴ……とか言ったか」
「はい、なんですか?」
「……お前は俺を他人だと思ってようと、俺は、お前を妹と思う。それが嘘であっても」
小夜はしばらく沈黙し、部屋を出た。
そして爆破した地下室では、煙がたちこみ、セトルはその場に立っていた。
セトルが爆破させたナタを、朱天羅は盾で防いでいた。
しかし、鎧にはあちこちにヒビが入り、所々に朱天羅の肌が見えていた。
「よく耐えたな」
セトルはそう言い、ナタを盾から離し、再び朱天羅に叩きつける。
朱天羅はそれも盾で防ぎ、更に押し返す。
「なっ」
(この娘に……そこまでの体力がまだあるだと……)
「攻撃形態」
朱天羅はセトルに切りかかる。
セトルはそれをナタで防ぎ、弾き返す。
そのまま朱天羅は背中から地面に倒れ兜の隙間から血を垂れ流していた。
「……終わりか」
セトルは立ち去ろうとすると足に何かが抱きついた。
「………貴様っ?!」
「……舐めないでね……」
朱天羅は、セトルの足に抱きつき離さなかった。
「……降参だ」
セトルはナタを落とし、両手をあげる。
「……そう」
朱天羅は気を失い竜装が解かれ、そのままセトルの足から手を離した。
「………諦めの悪い女だ」
セトルは朱天羅を背負い、地下室を出た。
模擬戦はこうして終了した。
その夜、7人は夕食を食べていた。
我道の作った料理に舌鼓を打ちながら、楽しい夜を過ごした。
朱天羅は頭に包帯を巻き、全身ボロボロになっていた。
「朱天羅……よくあの爆破から生きてきたな」
二野目が我道の作った味噌汁を飲みながら言う。
「耐えたのよ、人は耐えれると思ったら耐えれ」
そういうと朱天羅は口から血を吐いた。
「朱天羅ァ!」
二野目は心配したが、朱天羅は萎れた声で言う。
「死なないから……」
そして夕食が終わり、静まり返った夜。
悠里は、二野目を呼んだ。
二野目は欠伸をしながら来た。
「なに……ゆーちゃん」
「あのさ……」
「ん?」
悠里は二野目の耳元で言った。
「あの中にさ……裏切り者が居るんじゃ無いかな」
二野目の眠気はその一言で無くなった。
To Be Continued
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