第20話 竜騎士対抗戦
竜人保護管理局の6人、朱天羅、二野目、悠里、樋野、我道、セトルは地下室に居た。
壁についていたスピーカーから映夢の声が聞こえる。
「それじゃあ始めるわよ」
時は遡る事30分前
「それじゃあ、始めましょうか」
映夢はそう言うとカーペットを床から剥がす。
すると、そこには地下へ続くハッチがついていた。
「模擬戦か」
セトルは読んでいた本に栞を挟んで置く。
「模擬戦ってなんだ?」
二野目が聞くと、樋野が答える。
「ああ、まぁ竜騎士の練習試合みたいな物だよ」
映夢は一生懸命ハッチの扉を開こうとするが、映夢の腕がプルプルしており、力が弱いのか中々開かない。
「うっ………この……開いてよ……」
映夢の肩をセトルが叩き、交代するように求めた。
そして、セトルがハッチを開けようとすると、すんなりと開いた。
「ジュゲム、もう少し鍛えたらどうだ?」
「うるさいわね!」
映夢は顔を赤くして怒鳴った。
「まぁいい、とにかく中に入るぞ」
セトルを先頭に地下に続く階段をおりると、そこには広い空間が広がっていた。
天井には大きなライトが等間隔で付いており、空間は明るく、スピーカーが天井の中央に4方向についていた。
「ここは、いわば闘技場。竜騎士の模擬戦が行える。この壁はたとえミサイルランチャーを打ったとしても傷一つつかないように作られている」
セトルがそう言うと、妖夢が両手に細い紙切れを3つずつ握っていた。
「これを引いて、対戦カードを決める右手が新入り3人、左手が先輩3人の」
6人はそれぞれ引くと、先端に数字が書いてあった。
「同じ番号の人と戦う事にする」
1番は二野目と我道
2番は悠里と樋野
3番は朱天羅とセトル
となった。
「それじゃ、1番から順にやっていくわよ。ルールはシンプル。相手を追い詰めるまで、死なせちゃ駄目よ。それじゃ私は放送室に行くから」
そういうと映夢は階段へ戻る。
すると、天井のスピーカーから映夢の声が聞こえてきた。
「ここから判断するから、もし何かあったら私が止めるからね」
という訳で第1回戦。
二野目潤VS我道最高
残りの4人は、端の椅子に座っている。
2人は間合いをとってそれぞれバックルを出現させた。
「お前さ、自分の事最高って思ってんの?」
「いや」
「んじゃなんでそんなに最高にこだわるんだよ」
「僕の名前の意味を……教えてあげよう……僕の名前の意味はね………我の道をゆき、最高の存在となる者………」
我道は竜装した。
その黄色く輝かしい姿は凛々しく、そして派手過ぎず、正しくかっこよくもあり、可愛くもある。
老若男女問わず、誰もがこういうであろう。
最高の鎧と。
「竜装鎧タルボ……最高の鎧さ」
「どこが最高なんだよ!」
二野目は竜装し、早々に鎌を投げるが、鎌は地面に突き刺さり、我道は右に突っ立っていた。
「えっ」
二野目が我道を視認した瞬間。
我道は目の前におり、二野目に腹に拳を放つ。
二野目が前に倒れる寸前に、我道は膝蹴りを放ち、二野目は空中に吹き飛ぶ。
そして我道は右手に剣を出現させ二野目を空中で斬る。
二野目は吹き飛ばされるかと思いきや、吹き飛ばされる方向に我道が現れ、更に追撃を放つ。
それを繰り返され、二野目は空中で静止したようになっていた。
そして我道が地面に落ちると、彼の鎧はズタズタになっていた。
「にのくん!」
悠里が駆けつけようとするが、樋野が止めた。
「大丈夫、彼は、最高の試合をするから」
我道は優雅に着地し、剣を二野目に向ける。
「さぁ、どうする?」
二野目は立ち上がると、彼は叫んだ。
「いきなり……やっくんじゃねえよ……最低なスタートしやがって……俺の忍法……見せてやんよ……」
「そうか、それは実に素晴らしい。感動するね。だが、最高の僕の前には、無意味な事さ」
我道はそう言うと二野目の腹に剣を刺した。
かに見えた。
我道が刺したのは、ただの木だった。
「なっ」
我道の背後に二野目が現れ、背中を鎌を切りつける。
「竜忍法 獣脚分身」
二野目は5人に分身し、それぞれが大きな風の手裏剣を作り出す。
そして手裏剣を投げ飛ばし、我道を切り裂く。
我道も避けようとするが、手裏剣は追尾して来るので避けようにも被弾し、思うようにいかない。
「おい最高!お前みたいに早いだけじゃ勝負なんてつかねぇんだよ!」
二野目はあっかんべーし、分身達も同じようにする。
更に分身と連携し、我道を追い込んで行く。
「おらよっ!」
二野目が最後の一撃を放とうとしたその時。
我道は二野目の鎌を弾き飛ばした。
「なっ……」
我道は二野目に切っ先を向けた。
「……勝負ありだね」
二野目は竜装を解き、そのまま地面にばったりと倒れた。
「………全部お前のシナリオかよ」
我道は二野目の腕を引っ張って立ち上がらせるとこう言った。
「そうだよ。僕も強いけど、君も強い。どちらが勝ってもおかしくないように、わざとあの時は術にはまって攻撃を食らってたのさ。君も、半分気づいてたんだろ?」
「……うるせえ、お前と関わる気なんて毛頭ねぇからな!」
そう言うと二野目は不貞腐れながら椅子に座った。
「……君とは最高のコンビになれそうだ」
我道はそう言い、席に戻った。
第2回戦佐々木悠里VS戸増樋野
「あ、あのお手柔らかに……お願いします」
悠里は緊張しているのか、弱々しい声で樋野に言った。
「そうか、よろしく」
そう言うと樋野は腰に紺色の水晶が入ったバックルを出現させる。
「竜装」
すると樋野は鎧を纏った。
その鎧は半魚人とトカゲを混ぜた様でどことなく獰猛さがあった。
「………竜装鎧スピノ。そう言われてる」
樋野はブーメランの刃を軽く撫でた。
To Be Continued
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