第14話 ホタテ電波バキューン
4年前。
蓮の部屋に1人部屋に入る。
「誰だお前?」
皿洗いを済ませ、ゲームをしていた蓮はドアを開けると、突如青い光に包まれた。
そして、意識が遠のいて行った。
目が覚めると。
「小夜、どこいってたんだよ」
「えっ、それじゃあ小夜さんは一体何者なんですか……」
ケラトはそう言った。
蓮も自分の父親が死んでいたの知っていた、そしてケラトにもそれを言っていた。
しかしそれは小夜が生まれて1年後だったはずと思っていた。
蓮は莉に真剣な眼差しを向けて言った。
「……もし、母さんの話が正しいとして、母さんは小夜をどうする気なんだ」
「そりゃ……」
莉は言葉を濁した。
「……お前に話せる様な事じゃない」
「なんで、話せないんだよ」
莉は、蓮から目線を逸らした。
「今は……まだ」
「まぁあんまり詮索しねぇけど、秘密主義も程々にしろよ」
2人はちゃぶ台を囲み、しっかりと話す事にした。
「とりあえず、御二方は久しぶりの再会ですし、楽しくしましょ?たとえ小夜さんと血が通ってないとわかっても、家族じゃないですか」
重い空気を軽くする為、ケラトは雰囲気を和ませる。
「まぁそうだな、久しぶりだし」
「……そうかもな、出会ってそんな重い話してもお前も嫌だよな」
ケラトは氷の入った麦茶を差し出し、2人はそれを飲みつつ、雑談をする。
「お前も成長したよな、ちょっと前まで私の乳飲んでた癖にな」
「お前のちょっと長くねぇか」
その夜、2人は楽しくそれぞれの出来事を話し合った。
ケラトはただそれを嬉しそうに見ていた。
ケラト・トリケ15歳。
彼は生まれてすぐ、両親を亡くす。
彼は1人で、7歳の時騎士団に入団、同時に医者の勉強をし、12歳に医療資格を得る。
そして、竜騎士団2番隊隊長兼医師団副団長になる。
彼にとっての生きがいは王だけだった。
王に全てを捧げ、王に従い、王に尽くし、王のための死ぬ、王無しの生き方など考えられなかった。
そんな時、突然王は消えた。
王が消え、生き甲斐の無くしたケラトは人間界に向かう事を決めた。
王を探し、取り戻す。
その目的を果たすため、他の世界の人間とあまり関わろうとは正直思っていなかった。
そんな彼に初めてできた友人こそ。
蓮沼春樹だった。
初めての対等な関係の人物。
それが彼であった。
母が来てから2週間後、小夜は全く帰ってこなかった。
蓮も連絡を試みたものの、繋がることは無かった。
そんな時が続く中、蓮がSNSを眺めていると、とある情報が目に止まった。
『蓮沼春樹』
「これってお前の友人だよな」
蓮はケラトにスマホの画面を見せる。
「あっ……春樹さん」
「なんかぽっと出てきたら急に伸びてんだよなこの人」
「私、春樹さんに会おうかな」
「いや、もう引っ越してると思うぞ?だって最後に会った時に住んでたのはボロいアパートだったんだろ?流石にこんなに売れてんだ、引っ越してるに決まってる」
ケラトは少し落胆しながらも、再び洗濯物をたたみ始めた。
「でもファンが怖いんだよな……」
「ファンが……ですか?」
「なんというか、心酔してるのか?依存してるような奴が多いんだよな」
「依存……?」
「お、おうなんか犯罪起こして捕まった奴も居るとか、まぁあくまでネットの噂だ、あんまり鵜呑みにすんなよ」
ケラトは少し不安を感じるものの、洗濯物をたたむのに集中した。
すると、買い物に行っていた莉が家に戻ってきた。
「ただまー」
「おかー」
「ものすごく略するんですね……」
ケラトは小さくツッコミを入れ、莉は買い物袋の中の物を整理しながら言った。
「蓮、蓮沼春樹って知ってるか?」
蓮は少し驚いた。
「いや、知ってるもなにもさっきケラトと話してたんだが」
莉は淡々と話した。
「知ってるなら早い、その男が、怪人に操られているかもしれない」
ケラトはその一言を聞き、声を失ってしまう。
「そんな……」
「どした?ケラト君はファンかなんか?」
「無名時代からのダチだよ」
莉はケラトの肩を叩いた。
「……やるか?」
ケラトは小さく頷いた。
「……助けられるなら」
3人は少し遠くにある高級マンションに向かった。
そこに蓮沼がいるらしい。
「最近連絡取れなかったんですけど……やはり怪人に……」
「そんじゃ、ケラト君。行ってら」
ケラトはマンションに入ろうとした。
その時、上から何かが飛び降りて来た。
それはフランケンシュタインの様にツギハギな2体の怪物だった。
1人は、VRゴーグルの様な物を顔に着け、両手足からは煙を吹き出す機械的な物に作り替えられている。
髪は灰色で、体格からみて女である事がわかる。
もう1人は身体中にチューブやパイプが突き刺さり、顔にはガスマスクが縫い付けられ、背中にはタンクの様な物を背負っている。
髪は白くなっているが、根元を見ると、少し抹茶色をしている。
「怪……人?」
「どちらかと言えば、改造人間と言えるな……」
ケラトは2体の怪物の顔を見て、絶句し、膝を折る。
「ファロ……ガストロ……なぜ」
蓮は絶句するケラトに聞く。
「まさか……お前の」
莉は蓮の口を塞ぐ。
「それ以上言わない方がいいかもしれない」
ファロ・パキケ女性15歳
ガストロ・ガソ男性14歳
2人はケラトの同期であり、親友でもある。
そして2人は今、変わり果てた姿で、ケラトと再会した。
「どうして……」
2人はケラトに襲いかかるが、竜装した蓮に蹴り飛ばされる。
「蓮様……」
「早く行け!」
「でも……」
「確かに、つれぇよなこんなの。でももうこうなまった以上戻る可能性があんのかもわかんねえ。せめて救えるダチくれぇ、救え!」
ケラトは立ち上がり、マンションに入る。
「……頼みました」
蓮は親指を立て、2人をケラトから離すように抑える。
「蓮、私も協力する」
莉はバックからハンドガンを出す。
「え?」
ケラトは莉から聞いた情報を頼りに蓮沼の居る部屋へ向かう。
そして、蓮沼の居ると思われる部屋に辿り着いた。
ドアには鍵がかかっており、ケラトは竜装し、ドアを蹴破る。
「大丈夫ですか春樹さん!!!!!!!!!」
そこのは、ギターをカメラの前で弾く蓮沼と、ペルノペクデンパが居た。
「春樹さん、曲者ですホタテ」
ペルノペクデンパは警戒する。
蓮沼は目の前のカメラを止め、飄々とした口調で、ペルノペクデンパに言う。
「俺の友達だよ、迎え入れてあげて」
「わかりましたホタテ」
ペルノペクデンパはどき、ケラトは近づいた。
「春樹さん、あなたは操られてます!早くこんな怪人から逃げてください!」
蓮沼は高らかに笑う。
「……何がおかしいんです!」
「いや、俺は操られてなんか居ないよ。むしろこいつには感謝してるよ」
「……え?」
蓮沼はギターを置き、純白のソファに座り、ワインをワイングラスに注ぐ。
「僕はね、とある人に良い話を持ちかけられたんだ。この怪人が発する電波は、あらゆるインターネット機器を通じて、洗脳音波として出るんだ、それで俺は売れたんだよ」
ケラトは唖然する。
「そんな……そんなので売れても……」
「そんなん?おかしいのは君だと思うよケラト君、世の中ね、どうやろうと売れたもんが得をするんだよ。電波を浴びた人は、僕の歌を聴かないと禁断症状が出る程依存するようになる」
ケラトは訴えるように言う。
「……あなたは……そんな人じゃない……」
「何言ってんだよ……俺は俺だよ」
ケラトは竜装し、ゆっくりと蓮沼に近づく。
「お、おい……ケラト何を」
ケラトは蓮沼の首を絞め、喉元にレイピアを突きつける。
「僕は……今……あなたに失望している……あの時の………歌に一緒懸命なあなたは……もう居ない……今の……お前を俺は……殺したくて仕方ない……」
蓮沼は足を震わせる。
「……逃げろ……今なら殺さずに済むかもしれない……」
ケラトは首から手を離した。
「……なんだよてめぇ!俺が有名になったってのに!なんで喜ばねぇんだよ!トカゲがよ!」
その後も書くに耐えない言葉を吐いたが、ケラトの耳に聴こえていたのかは分からない。
蓮沼は離されるな否や、すぐに腰を抜かしながら逃げた。
「……後は……お前だけだ」
ケラトはペルノペクデンパにレイピアを向けた。
ペルノペクデンパが気づいた時には頭の貝殻を砕かれていた。
「……な、え?」
ケラトはペルノペクデンパにレイピアを刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺て刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して
最終的に、ペルノペクデンパは穴だらけになり、もはや原型は残っていなかった。
「…………戻るか、蓮の所に」
To Be Continued
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