第2話 2つの世界
「貴方が……もう1人の…………王……で……す…ね」
彼は地面に倒れた。
蓮は少し間を開けて言った。
「俺が………王?」
悟はとにかく、彼を背負った。
「ど、どうするんだよ」
「病院に行くぞ、蓮!」
「お、おう」
蓮は走る悟に着いて行った。
2人は水色の髪の青年を病院へ連れていった。
医師いわく、少し安静にしていれば治るだろうと言っていた。
2人は水色の髪の青年が寝ている病室でリンゴの皮をむいていた。
「意外と手器用なんだな悟って」
「よくお母さんに手伝わされてたからな」
「ふーん」
すると、水色の髪の青年の目が覚めた。彼は起き上がり、周りの景色を見る。
「……ここは」
「病院だよ」
悟が答えた。
青年は蓮を見るやいなや、両手を握りしめ、キラキラと輝く目で蓮を見た。
「やっぱり……その赤い瞳は……もう1人の王!」
蓮は嫌そうな顔で彼を見る。
「だから、王ってなんですか。僕は王なんかじゃ」
「でもその赤い瞳は天然の物ですよね!」
「まぁ……はい」
その返事を聞くと、彼は更に目を輝かせ、蓮の両手を強く握りしめた。
「やっぱり!!!」
「いだだだだ!!!!折れる!折れる!!」
彼は慌てて両手を離す。
蓮は少し痛そうに腕を振る。
「あっ!すみません。私、ケラト・トリケと申します」
「ああ、よろしくなケラト。俺、宮野悟」
「橘蓮です……よろしく」
「橘………蓮」
ケラトは蓮の名をしっかりと呼んだ。
「そ、そこまで凄そうに言われると恥ずかしいんだけど」
悟がケラトのひとつ聞く。
「ところでなんであの化け物と戦ってたんだ?」
「それを話すと非常に長くなるのですが……」
「良いぞ、良いよな?蓮」
「う、うん…」
「遡ると約6600万年前……」
「待て待て予想以上に長いぞ!」
「どんだけ遡ってるんだよ!」
2人はすかさずツッコんだ。
「だから、長くなるって」
「………まぁ続けろ」
悟は了承した。
「6600万年前、恐竜はこの世界では絶滅しました。しかし、恐竜はまだ生きていたのです」
「どうしてだ?」
悟が聞く。
「世界は2つあるんです。ひとつはあなた達の住む世界。いわゆる人間界。もう1つは、私の様な
すると、蓮が呟いた。
「ディノサウロイド……か」
「ん?ディノ……なんだ?」
「ディノサウロイド。カナダの考古学者が、もしも恐竜が絶滅しなかったら。俺ら人間みたいに、人型へ進化したかもしれないっていう仮説だよ。つまり、ケラト……君くんはそのディノサウロイドって訳」
「ああ、そういう」
「蓮様の言う通り、そのディノサウロイドというのが私達竜人の事ですね。その通りだと思います。そして、竜人は国を作りました。そして、ある力を手にしたのです」
「「ある力?」」
「
「それが蓮のあの力って訳か?」
悟が言うと、ケラトはまた目を輝かせながら言った。
「はい!そしてその力の一番強いものが王へとなりました。それが蓮様の持っている竜装鎧レックスともう1人の王が持つ竜装鎧ティラノです。この2つの鎧はレックスは赤の騎士、ティラノは青の騎士と呼ばれています。本来なら1人の騎士のみが王になるのですが、この2人は強さを共に認め合い、2人で国を治めました。しかし……」
「しかし……なんだ?」
「2人の王は意見が対立し合い、内乱に発展したのです。決着は竜装鎧ティラノの騎士が勝ち、レックスの騎士は敗れ去りました。それが今から1200年前の話です」
「それで、レックスの鎧を今、蓮が持ってるって事は……」
「僕はもう1人の王の子孫?」
「はい!それで今国は大変な事になってるんです!実は!王子が失踪してしまったんです!」
「んで、この世界に来て、王子を探してきたと……?」
「その通りです!悟さん!一刻も早く探さないと!蓮様は、もう1人の王です!実はまた2人の王に変えようと国議会でも話されていたんです!だから蓮様を探すのも目的だったのですが。最優先は王子を探す事でした!」
ケラトは起き上がろうとした瞬間、身体中に痛みが走る。
「うっ!」
「落ち着け……明日まで休まないと怪我治らないってよ」
「はぁ………早く探さないと……」
「探さないと?」
「みんなへのお土産を安心して探せない……」
蓮と悟は椅子から転げ落ちた。
それまるでドリフの様に。別に2人はドリフを見た事は無いが。
2日後。
「………という訳で
小夜。つまりは蓮の妹は嫌そうな目でケラトを見る。
「食費、衣服費どうすんの。兄ちゃん」
すると、ケラトは言った。
「衣服は自分で持っているので問題ありません。あと、家事や洗濯はほぼ出来るので小夜さんは学問に勤しんでください。料理の腕は自信ありますから!」
ケラトは渾身の笑顔で小夜を見た。
そして、小夜の両手をしっかりと握る。
小夜は基本的に男性不信なのだが、この時彼女は確信した。
この人はいい人だと。
「わかりました!それでは頼みます!」
兄には一切見せなかった様な笑顔で小夜は言った。
「はい!」
ケラトもそれ相応の明るい顔で返事した。
蓮とケラトの2人は共通の部屋に居ることになった。
「所で蓮様」
「その、蓮様って呼び方辞めないか……んで何」
「小夜さんがずっと家事してた様な感じですけど。蓮様も何か家事の役割を担ってたんですか?」
蓮はギクッとした。
言える訳がないだろう。全く持ってしていなかったなど。
「………はは」
「あー」
流石にケラトも少し察した。
とある一軒家。
洗面台の前に1人の女が立っていた。
そして、茶色のカラーコンタクト、通称カラコンを外した。
「………こんな目……いらないのに」
その瞳は桃色の瞳をしていた。
To Be Continued
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