第59話059「モテキ到来?(尚、いらないモテキも含まれる模様)後編」
——お昼休み 食堂
「朝はガス・ジャガーの件があまりにも衝撃的でつい聞きそびれたけど、上級生が何人も教室にやってきて俺に会いにきたって⋯⋯一体誰が来てたの?」
俺は硬いパンの上にチーズが載ったものと、何かの動物の肉をカリカリと焼き上げた『ベーコン風なにか』に舌鼓を打ちつつ、ザックに誰が会いに来たのか聞いてみた。
「⋯⋯すごい顔ぶれだったよ。ね、イグナス」
「ああ、さすがにあれだけのメンツがカイトに会いに、一回生の⋯⋯しかもCクラスに足を運んだんだからな。今でも信じられねーよ」
「⋯⋯ふーん」
「「いや、リアクション薄っ!!!!」」
「え?」
どうやら、俺が思っている以上に昨日俺に会いにきた上級生というのはビッグネーム揃いだったらしい。
「そうだね、まずは⋯⋯」
と、ザックが
「まず三回生だと、何と言っても筆頭はエリナ・クインズベル生徒会長だね。まさか、生徒会長自らが一回生のCクラスの生徒に会いに来るなんて前代未聞だよ」
「まったくだ。あの爽やかスマイルと通る声で『カイト・シュタイナーはいるか!』の一言は物凄ぇーインパクトだったわ」
イグナスがザックに被せるようにエリナ・クインズベル生徒会長のインパクトの大きさを興奮気味に語る。
「あ、ちなみに、その時一緒に付き添ってきていたのは『セリーヌ・ジュリアーノ様』で、副会長なんだけど、俺も初めて見たけどすごい清楚でキレイな人だったよ」
ほう。『セリーヌ・ジュリアーノ』とな。覚えておこう(インプット)。
「で、次に来たのが二回生のミーシャ・リンドバーグ様」
「ミーシャ・リンドバーグ様?」
「前に教えただろ? 二回生のマドンナ候補の人で褐色肌の⋯⋯」
「ああ! 褐色肌元気娘パイセンっ!」
「パ、パイセン? ま、まあ、とりあえず、そのミーシャ・リンドバーグ様も会いに来てたよ」
「あの先輩よー、絶対、俺たちよりも精神年齢低いよな! 教室に来たときも一緒に来ていた子から『お願いですから決闘を申し込むのはやめてください!』なんて必死で止められていたからな」
「決闘?」
「ああ。なんか『カイトと試合したい!』『どうしたらカイトに会える?』て、誰かれ構わずグイグイ迫って聞いていたからな」
「へー、そうなんだ」
ミーシャ・リンドバーグ先輩か。たしかショートカットの褐色系健康美少女だっけ? そういう子、嫌いじゃないぞ!
「あとは一回生で、一瞬だったけど、あのレイア・クラリオン様⋯⋯レイア姫様も来てたよ!」
「えぇ?! マジっ!」
レイア姫も来てた⋯⋯だとっ!?
「ああ。もちろん教室内は騒然としたけどな。でも、『カイト・シュタイナーはいるか?』と聞かれて今日は休んでいますと伝えたら一瞬、すごく険しい顔をした後すぐに去っていったけどな」
「そういえばカイト⋯⋯。レイア姫様とはどういう関係なの?」
「え? どういう関係?」
「いや、だって合同魔法授業でもカイトに声を掛けてきたからさ」
「いや、特に何も⋯⋯」
「いやいや、さすがにそれはないだろ、ザックぅ〜。いち下級貴族の生徒がレイア姫様と関係があるなんて⋯⋯」
イグイグのちょっとマウント取り気味の言い方に「このやろ」とは思ったが、しかし、たしかにそのとおりだとは思う。すっげー癪だけど。しかし、
「うーん⋯⋯たしかにイグナスの言うとおりではあるんだけど、俺的にはレイア姫様はカイトに少なからずの興味はあると思うんだよね〜」
ザックが言うには、合同魔法授業のときからレイア姫の言葉や態度を見たら「たまたま声を掛けた」という感じには見えなかったらしく、そして今回、俺に会いにきたことやその時のレイア姫様の雰囲気を見て、「自分たちが思っている以上にカイトに興味を持っている」と強く感じたらしい。
「そ、それは、ザッきゅん⋯⋯レ、レイア姫様が⋯⋯その⋯⋯ぼ、僕に一定以上の興味を⋯⋯持ってくれていると? レ、レイア姫様は僕に⋯⋯ゾッコンだとっ!?」
「いや、そこまでは言っていないよね!?」
「いや、そこまでは言ってねーだろ! 調子に乗んな、バカイト!」
二人から欲しいツッコミを的確にいただきました。ていうか、
「おいイグナス! バカイト言うな!」
「バカイト⋯⋯。クスクス⋯⋯いいね、それ!」
「だろ?『バカイト』使いやすいよな?」
俺は抗議したが、思っていた以上にザックも『バカイト』を気に入ってしまったらしく、イグナスと二人して俺の前でイチャつき出しやがりました。これも『リア充』という枠になるのだろうか?
「とまあ、有名人はこれくらいかな?」
「しかし、まあ、姫様に生徒会長、二回生のマドンナ候補と⋯⋯十分、凄いメンツだよな。まー、当たり前っちゃー当たり前だが、たしかにそれだけのことはしたと思うぜ、あの合同魔法授業でのカイトはな⋯⋯」
イグナスは「ケッ、面白くねぇ!」などと悪態をつきながら、少し嬉しそうに話す。なんだろう? イグイグのツンデレ属性⋯⋯悪くないな。
「あ、カイト。実は、昨日の放課後に『カイトについて』話しかけてきた子がいたんだけど⋯⋯」
そう言って、ザックがCクラスにいる平民出身のステルス系幸薄美少女であるサラの話をした。
「あの普段、存在感のお薄いサラさんが俺のところにきて『カイト君、昨日の授業が原因でお休みしているんですか?』『やっぱり魔力暴走で具合悪くしたんですか?』て、割と饒舌にグイグイ質問されたよ」
「お、俺のことを、心配してたってこと?」
なんと、あのステルス性能搭載のサラちゃんが⋯⋯俺のことを⋯⋯?
「うーん⋯⋯正直心配というか、どっちかって言うと
「ふ、ふーん、そ、そう?」
ま、まさか? ついに⋯⋯ついに、きたのか、俺のモテキが?
モテキ入りましたぁぁぁーーー?????!!!!!!
「おい、バカイト。勘違いすると後で泣きを見るから、その鼻の穴を膨らませて変に期待するのはやめとけ」
「な⋯⋯っ!? う、ううう、うるせーーーっ!!!!」
まるで、俺の思考を読み取ったかのようなイグナスのツッコミに、不意を突かれた俺は思いっきり動揺してしまった。すると、
「お? 焦ってるのか? 珍しいな。ちょっと『かぶっている猫』が剥がれかかっているぞ?(笑)」
イグナスがここぞとばかりに、更なる切れ味鋭いツッコミで追い討ちをかけてくる。
「あれ? もしかして、カイト⋯⋯女子のこと意識して焦ってる? 意外だな〜、カイトて女子のその程度の反応なんて、気にせずもっと余裕かますと思っていたのにな〜。意外だな〜」
ザックもまたニヤニヤしながら、イグナスに乗っかって踏み込んでくる。
マズイ! 俺の四十年間の『ドーテー・オブ・ライフ』がつい露見してしまった!? 俺は、この不利な状況を何とか盛り返そうと二人に抗議をしようとした。その時、
「よっ! 元気そうじゃねーか、カイト・シュタイナー」
「お前⋯⋯あ、いや、あなたは⋯⋯ガス・ジャガー様」
190センチ近くある大男『十歳おっさん』のガス・ジャガーが、子分1子分2のディーノ・バレンチノとカート・マロンを連れて、俺たちのテーブルにやってきた。
いらないモテキ、キター(棒。そして涙目)。
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