第49話049「道化」
「よろしくお願いします!」
俺は甲斐甲斐しく、ガス・ジャガーに礼をする。
「ガス様、じゃあ、まず俺から行きますよ! ガス様やディーノ様のお手を煩わすことはさせません」
「ふむ。そうだな、頼んだぞ、カート」
子分その1のディーノ・バレンチノという男がカート・マロンに返事をする。二人のやりとりを見る限り、同じ上級貴族でもカート・マロンとディーノ・バレンチノの間では上下関係があるようだな。
ディーノ・バレンチノが上っぽいな。まあ、そりゃそうか。
そんなことを考えている間に、子分その2カート・マロンが目の前にきた。
「よろしくお願いします!」
「おう。あー、ちょっといいか?」
「はい?」
そう言って、カート・マロンが
すると、カート・マロンが俺の肩に手を置いて、
「悪いが、お前の
「へ?」
「
カッチーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!
カート・マロンが氷属性中級魔法『
「ひゃっははは! はい、これでおしまーい! おつかれさ〜⋯⋯」
ジュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ⋯⋯パキーーーーン!!!!
「え?」
「何っ!?」
「何だとっ?!」
体全体に覆っていた氷を俺は数秒ほどで蒸発、爆散させた。
「な⋯⋯っ!? な、ななな、何をやった、お前!」
「え? えーと⋯⋯火属性初級魔法
「「「⋯⋯は?」」」
「「「「「⋯⋯は?」」」」」
俺の説明に三人が「ちょっと何言ってるか分からない」と、サンドのボケのような表情を浮かべる。あ、レコや周囲の生徒も同じ顔してる。
というわけで、俺はゆっくりと説明してあげた。
「えーと⋯⋯初級魔法の
「い、いやいやいや!? そもそも、なんで
「え? さあ?」
「「「「「えええええええええええええ!!!!」」」」」
俺の答えに、その場の生徒、あと先生も含めて全員が納得いかない表情を浮かべながら、ブーイングのような「ええ」を響かせた。
まあ、たぶん、俺の魔法の威力がかなり高いから、初級魔法でも他の人の中級魔法の威力を超えているのだろう。それ以外、説明がつかないしね。
とはいえ、そこまで俺が言う義理も必要もないのでお口をチャック。
それに、こいつら三人は俺の舎弟であるイグナスに対して、中々ふざけた態度を取っていたので、最初からぶっ飛ばすことだけを考えて俺は『道化』を演じている。
一瞬、ここで力を見せるのはどうかと思ったが⋯⋯それ以上に、俺の舎弟であり、
ま、どうにかなるだろうし、最悪⋯⋯⋯⋯強引にどうにかするっ!
「カート様。今、
「う、うううう、うるせーーーーーっ!!!!
そう言って、カート様は怒りの形相で火属性中級魔法『
「
俺は、氷属性下級魔法『
「バ、バカなっ!? 下級魔法の
そう。俺の放った
ザクザクザクザクっ!!!!
「がっ!? かは⋯⋯っ!!!!」
カートの体に俺が放った無数の氷の矢が突き刺さると、そのまま後ろへ倒れた。
「
俺は氷の矢を消した後、すぐさま倒れているカートに近づき、治癒魔法を展開。カートの傷を完治させた。カートは気絶しているようだが、まあ、傷は完治しているので問題ないだろう。
「ふう⋯⋯」
俺は一度、深く息を吸う。そして、
「す、すみません。なんか⋯⋯勝てちゃいました(テヘペロ)」
俺の道化は続く。
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