第47話047「虎視眈々と〜レイア姫side〜(前編)」
【修正報告】
『第一章 幼少編/011「レコの作戦と誤算」』
Leanさんからのコメントで「2つ頭はオルトロスですよ」とご指摘いただきました。
「ホ、ホンマや〜〜〜〜! ていうか、2つ頭でケルベロスと思ってまひた(恥ずか死ねる)」
ということで、ケルベロスの魔獣としたいので「三つの顔」に修正しました。
「目の前に出現したのは三つの顔を持つ狂犬病のような犬っぽい魔獣『ダーク・ケルベロス』。」
ご報告、ありがとうございました。
引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。
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——レイア・クラリオン(レイア姫)side
私の名は、レイア・クラリオン。
クラリオン王国、ラディット国王の次女。第二王女だ。
今日は『合同魔法授業』の日。それは、前からお父様に聞かされていた『カイト・シュタイナー』という生徒に話しかけられるチャンスの日でもある。
カイト・シュタイナー。小領地シュタイナー領で下級貴族の領主の嫡男。
普通、領主は上級貴族が任に着くものなので、領主なのに両親が下級貴族というのも中々奇妙な感じではあるが「まあ、小領地だからそういうこともあるのかな?」程度で特に関心はない。
それよりも、そんな下級貴族の子供に対して、普段クールというか淡々として、あまり感情を表に出さないお父様が「カイト・シュタイナーは、この国の行く末を左右する神に選ばれし子供だ!」と、私にはっきりと熱の籠った言葉で断言した。
さらに、お父様はカイト・シュタイナーが起こしたという『グラン・キャンバス大渓谷事変』も、これまた感情を露わにして私に熱く語った。
あのクールなお父様を熱くさせるだけの人物。そして、あの『グラン・キャンバス大渓谷事変』を引き起こした張本人。
私がカイト・シュタイナーに興味を示すのにそう時間はかからなかった。
——『合同魔法授業』当日
私はこの日が来るのを首を長くして待っていた。というのも、第二王女という立場上、いくら
それに、お父様からも「くれぐれも、学園でカイト・シュタイナーが目立つような行動はしないように」とキツく言われていたこともあって、私はずっとこの『合同魔法授業』の日が来るのを心待ちにしていた。
授業が始まった。レコ・キャスヴェリー先生が生徒に「自分のやりたい訓練」をするよう指示をする。
合同魔法授業は、A、B、Cクラス合同で授業を行う。生徒は自分のやりたい訓練を選んでそこに移動するので、生徒が一斉に散り散りバラバラとなった。
私はそのタイミングで意を決して、カイト・シュタイナーに声を掛けるべく動いた⋯⋯が、
いや、待て! 落ち着け、レイア・クラリオン!
今のテンションで声を掛けては『私がずっとカイト・シュタイナーに会って話がしたかった感』が出てしまうわ! それでは、カイト・シュタイナーが悪目立ちしてしまうじゃない! それはダメ!
お、落ち着け⋯⋯落ち着くのよ、レイア・クラリオン。
そ、そうね。それじゃあ、少し大げさに『王族らしさ』を出して声を掛けるってのはどうかしら?
そうして、私は仕切り直してカイト・シュタイナーにいざ声を掛けた。
「おい、カイト・シュタイナーというのはお前か?」
「え?」
よ、よし! 今の言い方なら『私がカイト・シュタイナーに声を掛けたかった感』は出ていないはず! いいぞ! よくやった、私!
ということで、私は念願叶ってカイト・シュタイナーといろいろとお話をしようとした。しかし、
「えぇっ?!!!!!!」
「いぃっ?!!!!!」
「「「「「っ!!!!!!!!」」」」」
何やら周囲が一斉に驚愕な顔を浮かべ固まったのだ。
な、なんで?! ちょっと話しかけただけだよっ!!
「は、はあ、僕ですけど⋯⋯どちら様でしょうか?」
「っ!」
カイト・シュタイナーは、どうやら私のことを知らないようだ。
あれ〜? 私、第二王女だからみんな知っていると思ったのに〜。
しかも、よりによってカイト・シュタイナーが知らないだなんて⋯⋯かなりショック。しかも、何か「不審者?」とでもいうような反応もされた。モーレツにショックだ。
「私の名は⋯⋯レイア・クラリオン」
「レイア・クラリオン?⋯⋯⋯⋯ああ! レイア姫っ!」
あ! 私のこと知ってた! よかったぁぁぁぁーーーーー!!!!
しかも、私のこと⋯⋯「レイア姫」て。あだ名で呼んでくれた! きゃー!
何か周囲が騒いでいるみたいだけど、カイト・シュタイナーが「レイア姫」て言ってくれたんだもの。どうでもいいわ。
あ、でも、何か言わないとカイト・シュタイナーに迷惑がかかりそうね。
「よい。別に私は気にしていない。カイト・シュタイナーよ、その口調で構わんぞ」
「あ、ありがとう⋯⋯ございます?」
「「なんで、疑問形なんだよっ!!!!」」
きゃー! 「ありがとう⋯⋯ございます?」だなんて! 首をコテリとして呟くカイト・シュタイナー、可愛いじゃない!
本当にこの子があの『グラン・キャンバス大渓谷事変』の首謀者なの? 可愛くて信じられないんですけどぉぉぉぉぉぉ!!!!
そんなことを考えていると、カイト・シュタイナーが声を掛けてきた。
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